この作品を読み終えたことで、前作の『楊家将』や北方『水滸伝』の真の面白さを知りました。
北方『楊家将』にも『水滸伝』同様に独自の展開が施されており、登場人物や歴史背景を考えると大胆に感じられますが、いずれも登場人物の峻烈さや運命が心地よく込められており、中国史小説の１つの真髄を目の当たりにできたといえる作品だと思います。

記憶喪失の四郎が、記憶を取り戻すまでが
非常におもしろかったです。
負けを許されない楊家のプライドが美しい。

記憶を取り戻した後の四郎は、かっこいいのですが
かっこよすぎる気もします。
オリジナルにはない続編で、
著者が浪漫を追求した作品だと思います。

全体として秀作です。

中国、宋の時代に顕れた吸葉剣と吹毛剣。
戦場で双振りの業剣が交わる時、新たな伝説が始まる!!
楊不敗を継ぐ者と白き狼を継ぐ者が血涙を流しながら互いの全てを賭けて宋軍と遼軍の前で火花を散らす。
どのような結果になろうとも、この戦場に勝者はおらず、ただ男である為の想いのみが漂う。
北方楊家将、ここに完結。

下巻の方は、前作「楊家将」の流れを汲んでいるように感じました。
特にラストの、宋軍vs遼軍の部分はいっきに読んでしまいました。
おもしろいです。
最後、虚しさと悲しみが・・・まさに血涙と言うタイトルがピッタリです。
わたしは、この「楊家将」シリーズを自分が勤める会社とダブらせて読んで
しまいました。
宋国が会社。帝が社長。将軍が取締役。
色々と考えさせられました。

何という素晴らしい本だろう。かつて北方謙三氏はハードボイルドの旗手くらいの感覚しかなかったが、実に素晴らしい。三国志をはじめとして中国の歴史を書くようになってからの活躍が目覚しい。名著に心より感謝申し上げたい。