日本で出版されているシックスシグマの市販本の中では、最も実践的な内容になっており網羅的である。

447Pという非常に分厚い本であるが、GE社内のマスターブラックベルト・ブラックベルト用のテキストが優に1200P（10日間の研修）を超えることを考えると、それでも相当端折っている部分はある。しかし、まずはこれで十分な用を果たしている。

シックスシグマのフレームワークであるDMAICは、プロジェクトマネジメントのフレームワークとして万能な錯覚さえ起しがちであったが、スコープのはっきりしている業務改善に最適なフレームワークであり、全社的な業務改革とか、一からプロセスを作り直すのには、別な考え方が必要だということが良くわかった。

但しそれでも、日常の業務改善についてこれほどまでにロジカルに組み立てるフレームワークは現在のところ存在しないので、応用範囲は広い。

参考になった箇所は、以下の通り
→数週間に及ぶブラックベルトの研修に出なくとも、本書を読めば、シックスシグマ改善活動を推進する上での重要な節目や、必要となるツール、検討すべき問題点などの概要を把握できる。

→シックスシグマは、ビジネスにおいて成功を達成・維持する21世紀型アプローチ

→マスター・ブラックベルト
　統計学測定ツールから改革マネジメント戦略、プロセス設計戦略に至るまで、広範囲にわたる専門的なアドバイスを行う
　対人関係のスキルと統計学スキルの両方が求められる特殊な役職である
　「社内コンサルタント」として、対人関係やリーダーシップの能力に優れた人をマスター・ブラックベルトに配する
　多くのプロセス改善チームも成功に導き、その指揮のもとに数々の成果を上げてきた人物である

シックスシグマプロジェクトの進め方が詳細に説明されています。組織構成、現状のデータ採取、改善へのアプローチまで実例を交えて興味深く読みました。ただ日本ではこの手の改善活動は昔から行われていて、わざわざこのような形式ばったことをする必要はないでしょう。アメリカだから受け入れられそうな気がしました。あと若干誤植があったのが気になりました。