一般に理解されているのとは違った、新たな見方を私たちに与えてくれます。
彼は単にアメリカを批判したいのではなく、強国が陥りやすい
構造を、その問題点をたどって原因を改善すべきだと考えています。
資本主義社会では、政策も当然のごとく利害を考慮して実行されています。
その中で、人間の最低限のモラルはどう考えられるべきなのか、
そんな疑問を投げかけている気がします。
最後に有名な言語学者である彼に、
言語学と政治への関わりを質問していて、
それに対するチョムスキーの返答が興味深かったです。
一見、何の関係もなさそうですが、彼の中では
根底で、2つはつながっているのです。
講演会の聴衆(アメリカの一般市民です)とのやり取りではユーモアが感じら
れますし、インタビューへの答えには、率直で誠実で優しい人であることが見
て取れます。
日本人の映画監督がチョムスキー氏の映画を撮るために取材し、そこからこの
本が生まれたんだそうです。
この本の中でもチョムスキー氏の近影を見ることが出来ますが、「反骨の知識
人」という評判とは裏腹に、とても穏やかそうで、優しく、知的な人です。
しかし、柔和な方だからこそ、米国の横暴さに虐げられる人々に心を捉えられ
たのでしょうね。
激しく怒りを爆発させ、勇猛果敢なように振舞うのではなく、平静に、屈する
ことなく、揺るぐことのない信念を持ち続けることこそ本当の強さだと思います。
なかなか難しいことですが、少しでもチョムスキーさんにあやかりたいものです。
頭がだいぶ足りないけど(笑)。