会田はロリコン的美少女と戦争画、原爆など性と社会性のあるモチーフを合わせて取り上げ、時に日本画的構図の中に納め、ある時はマンガの手法もとり、「自殺未遂マシーン」などのインスタレーションを行ったりと多彩な活動を展開している。独特の個性とアクがありながらも、非常にきちんと作品に向かい合う美術家、絵描きだ。それは近日封切られるドキュメンタリー映画『≒会田誠~無気力大陸~』(玉利祐助監督)にも、よく現れている。
会田の作品は国際的にも評価が高く人気も上昇中だが、彼のエロティスムに澁澤をということは考えつかなかった。衝撃的な「ジューサーミキサー」「とれたてイクラ丼」から「開きの天日干し」「犬(雪)」など、いずれも傑作揃いで、ミニ画集としても手元に置きたい一冊だ。鈴木成一の美しい装丁も本としての魅力を引き立てる。
シリーズとして5冊刊行するらしく、次回は澁澤の『うつろ舟』から「菊燈台」。ク・ナウカの宮城聡がかつて1人芝居で演じたことのあるこの作品に、大和絵風の山口晃がどうからむのか、「九相図」が登場するのか。すぐに「過去」として消費!される時代に、澁澤作品に対しての若手現代美術家の起用は本当に楽しみだ。5巻完成後は、ぜひ展覧会を期待したい。