あえて、暮らしの素朴さに迫った楽曲
★★★★★
加古隆さんによる「映像の世紀」は、世界の20世紀を取り扱った作品だっただけに、その楽曲は「激動」と「郷愁」という大きなテーマが音楽の真ん中を流れていたように思います。もちろん、戦争の要素もありました。
しかし、この千住明さんの「日本 映像の20世紀」は、日本だけを取り扱った作品で、しかも都道府県別という構成。戦争は確かにあり、災害も幾度となくあったわけですが、あえてそういった要素ではなく、人々の素朴な暮らしに重きをおいて曲が作られていると思います。「あの頃、古き良き時代があった そこには必ず人々がいた」とでも言いましょうか。メインテーマは携帯の着うたにしています。
魂の遺産
★★★★★
イメージ的には明治後期から昭和初期のイメージ。
引っ張っても昭和30年頃までのレトロなイメージの音楽です。
農村、街角のガラス窓、時の流れ、
街を走る自動車や流れる雲の情景が頭の中に浮んでくるような音楽です。
フュージョンありオーケストラあり可愛いピアノ曲あり、
それでいて日本を感じさせてくれる不思議なサウンドトラック。
「おじいちゃんのじまん」と「ふるさと」は聴くだけでジーンときます。
追憶の中に記憶された優しさ。
日本はこんなに素晴らしかったのだと感じさせてくれるCD。
千住明さんの音楽集では一番の傑作でした。
日本人の愛の詩
★★★★★
番組を見ました。本当に歴史のすき間の日本人のたくましさ、美しさとひたむきな我々の先人の表情は若い私のこころの財産です。人々への敬愛を思い出す映像なのでこのアルバム合わせて見たほうが伝わるかも。私は私をかわいがってくれた今は亡きおじいさんおばあさんたちを思い浮かべながら聴いています。理屈でなくその時の情景と気持ちが伝わってきます。20曲目の大切な人は特に好きです。大切なひとを思うとき、この曲は日本人の世代を横たわる人間愛を思い出させてくれる。これは情緒を安定させるためにも情緒教育にもいいのではないかと思う。
こういうことを言うと、嫌われるだろうけど…
★★★☆☆
皆さんが大感激されているこのアルバム、聞いてみました。
ごめんなさい。分かりませんでした。
私は、この番組を見ては居ません。
このアルバムを、単なる一種の環境音楽、リネージュとかの一系統として楽しもうと思っていました。
その観点では、率直に申し上げて「普通の」出来のように思うのです。
決して悪くはありません。
でも、あくまで「普通」です。
なら、星4つでいいではないでしょうか?
だめなのです。
環境音楽の一環という観点に立つと、
途中に入る子供の声の歌がどうにもたまりません。
これがある故に、安心して気持ちよく音楽を楽しめません。
ひどいことを言えば、いかにもあざといというか、
作ったような声で「おじいちゃ〜んの〜」なんて、
正直、勘弁していただきたいのです。
こういう事を言えば、嫌われることは分かっております。
しかし、このアルバムに「映像の追憶」ではなく、
音楽としての完成度を求められようとされる方もこれからもおられることでしょう。
そのような方々の一助となればと思い、敢えて書かせていただきました。
懐かしき日本の面影。
★★★★★
日本人がかつて、生きるために一生懸命だった時代。
これほどまでに、日本という国の生活の空気を見事に
音楽に表現したCDが今まであっただろうか。
日本の原風景が見える。家族の会話が聞こえてくる。
生活の、そして四季折々の色と香りを五感で感じることができる。
それは決して、御馳走に口を喜ばすような音楽ではない。
古き佳き(敢えて「佳き」と言おう)日本の面影を、
そして日本人の民族性すら感じさせてくれる、
まるで農家でいただく一杯のお茶漬けのような存在なのだ。
このCDは、日本の20世紀へ連れて行ってくれる
タイムマシンである。