70年代なかばにジェームス・テイラーに移籍されたことは、ワーナーブラザーズ史上、最高の幸運に数えられるかも知れない。さもなければ、あれほど早くこのベスト盤を制作できなかっただろうから。本作はワーナーブラザーズ史上屈指のヒット作となり、1100万枚を売り上げ、今も枚数を重ねている。テイラーの音楽スタイルは内向的な面が強調されがちだが、とかく思われている以上に芯が通っている。（新録音ヴァージョンの）「Carolina in My Mind」や「Steamroller」といった驚くほど複雑なナンバーを聴けばわかるように、彼はともに時間を過ごすにはもってこいのアーティストと言える。少なくとも、「Sweet Baby James」ほど美しいメロディーを生みだしたシンガー・ソングライターはほかにほとんどいない。（Rickey Wright, Amazon.co.uk）