その場シノギ
★★★★★
何故か版元が変わり続ける疫病神シリーズ第三弾。
ハードボイルドと銘打つも男前な探偵や謎の美女とは縁遠く、フェロモン皆無なおっさん二人は今日も行く。
口は八丁手も八丁〜♪一攫千金の臭いを嗅ぎ付けて〜♪
運送会社と闇社会と警察と政界の繋がりがよくわかる。どんな世界でも規模が大きくなると有象無象どもがやってくる。思わずため息が出る。
筋はややこしいが爽快な物語。 黒川さんいつもありがとう。これからも権力を振りかざすやつを叩きのめしてください。
難点は、面白すぎて、一晩眠らずに読んじゃうこと
★★★★★
建設コンサルタントの二宮啓之くんと、武道派ヤクザの桑原保彦くんのコンビの第3弾。
今度は、大手運送会社(読めばどこの運送会社がモデルかすぐにわかる)絡みのトラブルです。
期待を裏切らないどたばたが、これでもかこれでもかと続きます。
シリーズで読めば、最高だけど、これだけ読んでも、すごく面白いです。
とにかく、お奨めです。
難点は、面白すぎて、一晩眠らずに読んじゃうことかな?
まあ、どういう本が面白いかは、その人の感性なのですが、読んで損はないと思う。
二蝶会の桑原や
★★★★★
広域指定暴力団 神戸川坂会直系 二代目二蝶会 若頭補佐 桑原保彦と建築コンサルタント二宮企画の所長二宮啓之のコンビが運送会社のからくりから一儲けを思い立つ。舞台は近畿に留まらず、沖縄まで飛ぶ。私はいつも骨折り損のくたびれ儲けである桑原さんに本当に大儲けしてもらいと思っている。今回こそ大金を掴めればいいが?そして二宮もおこぼれにあずかれて少し羽振りが良くなって欲しい。
爽快
★★★★★
桑原と二宮の掛け合いは、そこらの下手な漫才よりもずっとおもしろい。薄汚いヤクザ社会を描いているのに、暗さがなく、からっとしたユーモアも感じられます。大阪ヤクザの実態ってこんなものかと知識欲?まで満足させられるのです。
ほんとに非常識の塊のような桑原なんですが、そのゴロ巻きの強さと目的達成への執念には、いつか共感まで覚えてしまいます。
でも、こうした内容で、女性読者をつかめるのでしょうかねえ。わたしは大ファンですが。
大阪弁の中でも、最も柄の悪い言葉を、これほど上手に小説に取り込めるのは、著書もこうした使い方に慣れているからなのでしょうか。一度お話をしてみたいと思います。
このシリーズのすごいところは
★★★★★
まずひとつに、毎度取り扱う社会問題がよく調べられていてリアリティがあり、さ
らに二転三転する物語性が噛み合って、読み物として価値のあるすばらしいエン
ターテイメント小説になっているというところです。
本作では天下り人事で警察OBの城と成り果てた企業の贈収賄問題が物語のきっ
かけになります。
そしてもうひとつは二宮&桑原コンビが絶妙であるというところ。
ヤクザの桑原は自分が最強で誰も怖くないといったジャイアンであって、二宮にと
って桑原は関わりあうとろくな事がないけど下手に逆らえないという心底疎ましい
存在ではありますが、その二宮は厭味な台詞回しで桑原をおちょくることもしょっ
ちゅうで、ナニワ風ユーモアの効いた二人のやりとりには<脅す者>・<従う者>
という関係にありながら辛気臭さはいっさいありません。この絶妙巧妙な距離感が
すばらしい愛すべきコンビです。がんばれ二宮!いったれ桑原!
そのコンビネーションもシリーズを追うごとに熟成しつつあって、本作も「疫病神」
「国境」の読者を失望させない内容になっています。
そして最後のすばらしいところは、権力に物をいわせた金の亡者・人間の屑を「こ
てんぱんにいわしたる」気持ちよさにあります。
この「暗礁」から入っても何ら差し障りなく読めますので、気に入れば過去の作品
も是非手に取ってみてください。