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悪果 (角川文庫)

価格: ¥900
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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黒川ワールドへぜひ ★★★★☆
主人公は警察官いやもしかしたら警察の抱える恒常的犯罪体質といってもいいかもしれません 
警察官がいかにして給与以外の収入を得るのか
そしてその方法は上層部と一介の警察官ではいかに違うのか
警察の金権体質や隠蔽体質をしっかりと浮かび上がらせながら、
中でも特に犯罪の温床となりやすい組織犯罪対策の所轄の刑事を主人公に
”日常”とそれを逸脱することになる事件を謎解きのおもしろさも添えて読ませます  

ヤクザが邪魔になった経営者がまたヤクザを使うか?とか
ヤクザが白昼、悪徳の所轄の刑事とはいえ現役の刑事を襲うか?とか 
金に執着する男が一人の女に入れあげるか?とか 
突っ込もうと思えば突っ込めますが 
それは作品のおもしろさを損なうほどのものではありません 
 
おもしろいですよ 
食わず嫌いだったかたも黒川ワールドを堪能してみませんか 
おすすめです 
最後もすかっとしていれば、なお良かったのだが。 ★★★★★
 マル暴刑事二人組みが賭場をあげ、そこから自分の身に危険が及ぶような連鎖する事件に巻き込まれていくストーリー。
 話の筋も先が読めるような浅さではなく、主人公のイケイケぶりもあって、長編ながら途中で飽きさせない。
 また、捜査報償費など警察の裏金や、警官個人のシノギについても、事実を上手く絡めて書いており、しっかりした背景を生み出している。

 外国では、交通違反を見逃したり職務質問代わりに金をたかったりする警官がよくいるので、そのような認識が市民の側にもあるが、日本の制服警官はそんな事をしないので、本書のような事はないと思うむきもあるようだが、裏金作りや事件のフレームアップは日常的に行われており、警察とやくざがグルになっての裏カシノ摘発・首無しチャカのコインロッカーでの発見もその一端である。

 ミイラ取りがミイラになり、組織がトカゲの尻尾切りをした『北海道警察の冷たい夏』、捜査報償費の現職実名告発『ドキュメント・仙波敏郎 -告発警官1000日の記録』もそれらを裏付ける。
 捜査費用や残業代までまともに現場に回ってこない中、どのようにネタを取るための必要経費を捻出しているかを考えるだけでも、終盤の大勝負は別にして、繁華街を抱える署ならどこにでも転がっている話の集大成である本書の、真実味は明らかに増そう。

 とは言え、因果応報的エンディングは必要だったのだろうか。
 危ない目にあわずともヌクヌクと警官人生を終え天下る、上と対照させているのかも知れぬが、伏線で読めていたとは言え、二人に肩入れしていた私としては、読後感に水をさした。


  
「あ、こんな奴、いたいた」と笑えます ★★★★★
数あるピカレスク小説の中で、リアリティということでは、ぴかいちと思います。
ま、いわゆる悪徳警官のお話なのですが、
とにかくテンポはいいし、登場人物たちは独特だし(笑

というか、実際の世界でもよくある話しではあるんですが。
純粋培養されて世の中の裏を見たことない人には、是非に読んで欲しいです。
ついでに、裏をよーく見てきた人も、
「あ、こんな奴、いたいた」と笑えますから。

100人に一人くらいは、不真面目だと怒るかもしれませんが(笑

読んで損のない本と思います。
異能の人を無能にする組織 ★★★★★
先日、第138回の直木賞芥川賞が発表され大きく報道された。直木賞の候補作である黒川博行の「悪果」という小説は落選はしたものの大変完成度の高いハードボイルド小説だと感じた。
 舞台は大阪、架空のB級警察署「今里署」。そこに勤めるノンキャリアの暴犯係の堀内という四十歳の刑事が主人公。優秀なマル暴の刑事であるが故に地回りのヤクザと関わり、ネタ元という協力者を培養する。そのためには必要経費を含めて自前で賄うために非合法なシノギに手を染めて行かざるえない。
官僚の中の官僚組織とまで言われる階級重視の警察の中で、出世や昇進を諦めた現場の刑事の葛藤と欲望を綿密な取材と虚構を織り交ぜながら読み手をどんどんと作品に引き込んでいく力はさすがに作家の25年のキャリアを感じさせる。
堀内はネタ元から得た大掛かりな賭博開帳の情報を元に相棒の伊達と内偵を続け、賭博開帳の現場を一毛打尽にし、暴力団の組を一つ壊滅状態にする。しかしながらこの検挙も係長佐伯の手柄になっても自分たちの昇進や査定にはなんの関係もない。堀内には別の狙いがあった。賭博の張り客の中にいた専修学校の理事長に対して、子飼いの経済誌のオーナーで強請屋の坂辺を使って暴露記事を書かない代わりに雑誌の広告料の名目で金をせしめようとする。堀内のシノギは坂辺を使った強請であり、同じ手口で何人かの広告主を得ていた。
しかしながら専修学校の理事長の森本は一筋縄でいく相手ではなく、坂辺はひき逃げに見せかけた事故で殺され、堀内は警察手帳をヤクザらしき男達に奪われる。相棒の伊達とともに警察手帳を奪還するために隠密での行動を起こす。リミットは装備点検がある月曜の朝まで三日間である。
警察の暗部を抉るように書きながらも、単なるエンターテーメントに陥らず、そこに潜む人間に心理を巧みに描く。そう言えば「仁義」と「利欲」の間で相戦う胸中というものは孟子が説いた儒教の教えでもある。
ともすれば官僚組織というものは異能の人物を無能の人にするものであるということか。
世の中カネやカネや ★★★★☆
 悪漢警官小説だが、とにかく出てくる警官のすべてが悪漢とは…。大阪府警そのものを悪の巣窟にしている。このどでかいフィクションがあってこそ、成立する物語世界である。いい人がほとんど出てこない。大義もない。ここまで腐りきった世界を作り上げるのはなかなかのもの。
 だけど、世界にはこんな警察機構も実際あるだろう。日本人に生まれて、良かったー!(織田裕二かっ)