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人斬り半次郎 幕末編 (新潮文庫)

価格: ¥820
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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読み終わってしまうのが辛かった。 ★★★★★
どちらかと言うと司馬先生のファンでしたが、池波先生のこの作品は最高に面白かったです。
途中何度も落涙しました。
2巻の途中から読み終えてしまう(=半次郎が亡くなる)のが辛く、もっと長編であればと何度も思いました。
印象が違います ★★★★★
タイトルを見るといかにも恐ろしく
残忍な人物を想像しますが、
朴訥で真面目な好青年です。

まずしい生まれの青年が剣をきっかけとして
日本の中心で活躍するという
とても爽やかな物語です。

是非おすすめしたいです。
心温まる傑作 ★★★★☆
「今に見ちょれ」という半次郎の立身への意気込みが伝わってきて、また薩摩弁でほとんど
かたられていることからも、薩摩隼人の人情、温かみが伝わってきた。
京での活躍とともに、純粋無垢な半次郎から、権力の魔性にかかってしまった半次郎を見事
に描き出しており、城山での最後の様子も半次郎らしく、あっぱれであった。
後半になるにしたがって、次第に傲慢になっていくのだが、下僕の幸吉と同じようにように
どこか憎めない。
所々の筆者の歴史解釈にちょっとなじめないところもあったが、西郷と半次郎が二人で語り
合う場面などは心を打つものがあった。
なんともすがすがしい青春ものとして ★★★★★
青春ものと言うのは、なんとも楽しい。
そ、かの人斬り半次郎にして、初代陸軍少将桐野利秋二してからに、この青春のまっただ中は実にすがすがしく、楽しいではないですか。
幕末モノはたくさんあり、特に司馬遼太郎の作品はとみに有名であります。しかし、この作品のように歴史の脇役(と言うには、中村半次郎は大きいかも知れないけど)、ともすると主役のような、西郷、桂、高杉、そして坂本の有名でかつ劇的な人生の影で、ついと忘れられているものたちを語る作品がこのごろ好きですね。浅田次郎の壬生義士伝がその典型ですが。
だれにも、やはり素晴らしい人生があり、幕末は大いにそのような若者たちの光が放たれた場なんだと、実感させられるすがすがしいいい作品でした。
人に惚れる、人が惚れる半次郎 ★★★★★
池波先生の描く男たちは皆、格別の愛嬌をもっていますが、中でも一番といってよいのが本作の主人公・中村半次郎です。
その前半生にあたる幕末編では、とにかく何事にも一途で、ひたむきな半次郎がめいっぱい描かれています。

薩摩の芋侍と蔑まれた時期、野心はあっても卑屈にはならず、己の力を信じて剣の道に活路を見出そうとする半次郎は、決して自分本位に出世を望むのではない、母や妹ら家族の幸せを心から願うまっすぐな心根の青年。
なかなかの美丈夫で腕はたつのに、心を許した人間には滅法甘えん坊になるところがなんといっても魅力です。そういう相手に対しての独特の声音「はァい」は、もうそれなしでは半次郎ではないというくらい目に焼きついて、いちいち読み手の心を解かします。

女性との関わりから導き出される半次郎の優しさや純粋さも見事。
薩摩で情愛を交わした幸江に抱きつづける深い想いや、初めて触れた京の女・おたみに対する疼くような少年めいた恋心、師であり友であり性愛の対象でもある法秀尼との広い意味での情交、それらすべてが半次郎という人間の繊細な部分をすっぽり包み込んで護ってくれているように感じました。

同じく西郷隆盛への崇敬も無防備すぎるくらいまっすぐで、なんの打算もなくただ感じるままに人を信じ敬う半次郎の心の美しさが眩しいくらいです。こんな風に思われたら、裏切れまい。

「人斬り」と題されてはいますが、度々命の危険に曝される緊迫した剣戟シーンがあるにも関わらず、殺伐とした幕末の陰惨さを感じないのは、こういう人との関わりあいの中で、半次郎が人としての本分を失わず剣を振るったというなによりの証拠でしょう。

ただ、その合間にも冷静に幕末の薩摩情勢を捉える池波先生の視線があって、徐々に半次郎の心構えも変わっていくのが手にとるようにわかるので、賊将編でどんな変化が出てくるのか、目が離せません。