追記の講演は、グノーシスのキリスト観と対比がされている。
この種の「イエス」と「キリスト」の分離が、まさしく現代のニューエイジ系思想において反復されていることについては、Ron Rhodes,The Counterfeit Christ of the New Age Movement(Baker Book House)
参照。イエスは洗礼の時になってはじめて「キリスト」になった(ルドルフ・シュタイナー)とか、「キリストは三年間にわたってイエスの体をのっとった」(ベンジャミン・クレーム)というようなニューエイジ系の異端的キリスト論に関する研究と批判です。
いうまでもなく、正統キリスト教は、イエスとキリストは別であるとか、イエスがキリストでない時があったとか考えたりしません。
聖エイレナイオスが当該箇所で聖書を引用しつつ説明しているとおり。
イエスとキリストを分離し、イエスがキリストでない時があったなどと主張する思想は、
新約聖書「ヨハネの第一の手紙」2:22に従って、反キリスト教です。
「偽る者は誰か。イエスがキリストであることを否定する者ではないか。父と御子とを否定する者は、反キリストである。」