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百年戦争 (文庫クセジュ)

価格: ¥999
カテゴリ: 単行本
ブランド: 白水社
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「百年戦争」は、フランスの歴史教育の産物だった。 ★★★★☆
この本は、百年戦争(1337-1453)に関する入門的な通書です。著者は、この百年戦争をはじめとするフランス中世史の権威である、フランスの歴史家フィリップ・コンタミーヌ教授ですが、この本の最初の頁に、非常に興味深い一文が有るので、それを御紹介したいと思ひます。--「百年戦争」という表現は、歴史家が比較的最近になって使い始めたものであり、誤りでなければ、十九世紀初頭のフランスで学校教育を目的とする著作のなかに取り入れられ、次いで、フランスと同様に英国においても、歴史書のなかで徐々にそのところを得て、同世紀の後半に慣用になるに至っている。(本書7ページ)--即ち、「百年戦争」と言ふ言葉は、実は、フランス革命後のフランスで、学校教育で教えられる為に生み出された用語であったと言ふのです。近年、百年戦争については、色々な視点から再検討が加えられて居る様ですが、この一文を読むと、「百年戦争」に関するそうした再検討は、「百年戦争」と言ふ呼び名その物が、実は、フランス革命直後にフランスを支配したイデオロギーの影響を受けて成り立った物であったが故に、再検討を加えられずには済まない物であった事の結果なのではないか?と思はずには居られません。「百年戦争」の時代は、日本の歴史で言えば、南北朝時代と重なる部分の多い時代に当たりますが、その南北朝時代についての歴史観が、戦前、戦後を通じて、日本の政治的な空気の影響を受けたのと同様、「百年戦争」にフランス人の歴史観も、フランスの政治的状況と無縁ではなかった、と言ふ事なのかも知れません。「全ての歴史は現代史である。」と言った歴史家が居ましたが、「百年戦争」は、まさにその一例なのかも知れません。--この本は、その「百年戦争」を分かり易い言葉で語った、非常に良い本です。特に、訳者の逆巻昭二氏の日本語は素晴らしい物ですが、内容その物は教科書的で、山瀬善一氏の「百年戦争/国家財政と軍隊」(教育社歴史新書・1981年)や佐藤賢一氏の「英仏百年戦争」(集英社新書・2003年)を読んだ後では、物足りない物に感じられる事が残念です。