史学生にとっては基本書のひとつ
★★★☆☆
タイトルどおり西洋のいわゆる古典古代と中世をカバーしています。エーゲ海文明の生みの親であるオリエントについてもちゃんと触れてくれています。西洋の歴史を学ぶ上で必須とされる論点についても大体は論じているのでありがたいですね。
全体的にかなりコンパクトな紙幅でまとまっているのですが、その分初歩的な説明は省かれています。通史的な概説ではなく、あくまでも主要な論点を拾い上げて簡単に説明しているというニュアンスです。当該年代について高校生レベルの世界史知識があることを前提として議論が進められていると思ってもらっていいでしょう。基本書ではあっても、まったくの初学者にはお勧めできません。
また、執筆年代の問題上ミラーによるゲルツァー理論批判のような新しい議論については言及できていないものもありますのでその点も頭に入れておいたほうがいいと思います。
学部生が卒論を書く際、拠り所のひとつにする分には利用価値があるんじゃないでしょうか。