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悪への招待状 ―幕末・黙阿弥歌舞伎の愉しみ (集英社新書)

価格: ¥7,400
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
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歌舞伎の魅力あふれる世界 ★★★★★
 歌舞伎を通して江戸の風俗を味わう好読物である。

 それも爛熟期の江戸ではなく、大きく変わろうとしている頽廃の香り高まる幕末の江戸なのだ。世は風雲急をつげ、世相は乱れ、庶民は日夜遊興に耽ることばかりを考えている。今の日本では考えられない世界だ。だが、魅力ある世界だ。そういう点で、江戸というのは特異な時代である。その当時にしても上方(大阪、京都)とはまったく違った世相だったのである。
 本書を読めばそういった事情が手にとるようにわかる。その上歌舞伎の傑作「三人吉三」の魅力ある世界にもどっぷりと浸れるのだ。このアクの強い物語の運命的なことといったら因果というものを、これでもかとわからせてくれる。現代でも充分に理解できるおもしろさだ。

 作者の語り口も平易でわかりやすい。これなら、中学生ぐらいの子でも読めるだろう。

ああ幕末の退廃美 ★★★★★
歌舞伎を見始めて20年。「三人吉三」は大好きな演目。その魅力を余すところなく書ききってくれた本書に感謝したい。多少解ったつもりになっていた「江戸」の色々な側面を教えられた。
「悪への招待状」への招待状 ★★★★☆
「三人吉三」は、七五調の独特の台詞回しや、因果応報とでも言えばいいのか、複雑に入り組み破滅へと向かう人間関係など、見ごたえのある、歌舞伎の中でも好きな演目のひとつ。
「悪への招待状」は、現代の若者を幕末の江戸へ連れて行き、その「三人吉三」を鑑賞しながら幕末江戸文化を楽しむ…という人形浄瑠璃(?)の筋立てとなります。

生真面目なイメージをもっていた江戸時代の、その頽廃的な様子。幕末という激動の時代に生きながら、遊びを楽しむ江戸人たち。そして「三人吉三」に出てくる小悪党たちの魅力。
この本のおかげで「三人吉三」はもとより、歌舞伎を観る楽しみが増えた。

わくわくさせる江戸の情景 ★★★★☆
2000年11月、浅草に平成中村座が出現し、2001年夏のコクーン歌舞伎では、この書でも取り上げられている三人吉三が大胆な演出で上演された。本書の発刊は1999年だったがまさにタイミングのいい時期にだされたといえる。

本書では歌舞伎のせりふ廻しはもとより、江戸の町の情景、風俗、着物の細部にいたるまで、丁寧に活写され、歌舞伎好きなら、眼の前に情景が浮かび、音曲が耳に聞こえるだろう。まさに読んでいてわくわくさせる内容である。

本書に『絵本夢の江戸歌舞伎』(岩波書店)を併せて眺めれば、ビジュアル的にもOKである。

歌舞伎の世界にちょっとでも足を踏み入れた人になら、実感としてわかるだろうが、高校で学んだ古典や国語とはまったく別の、同じ日本語とは思えないほど、意味のわからない言葉がたくさんあることに驚かされる。それらをかなり丁寧に解説している本書は、歌舞伎鑑賞ばかりでなく、古典学習のサブテキストにもなりうるだろう。

小林氏は関西の出身。相対的な視点で江戸の情景を切り取っているため、「江戸っ子でげす」といったようなヘンな思い入れがない。この調子で、白浪五人男とか、助六とかもぜひぜひ書いていただきたいものである。

「悪への招待状」への招待状 ★★★★☆
「三人吉三」は、七五調の独特の台詞回しや、因果応報とでも言えばいいのか、複雑に入り組み破滅へと向かう人間関係など、見ごたえのある、歌舞伎の中でも好きな演目のひとつ。 「悪への招待状」は、現代の若者を幕末の江戸へ連れて行き、その「三人吉三」を鑑賞しながら幕末江戸文化を楽しむ…という人形浄瑠璃(?)の筋立てとなります。

生真面目なイメージをもっていた江戸時代の、その頽廃的な様子。幕末という激動の時代に生きながら、遊びを楽しむ江戸人たち。そして「三人吉三」に出てくる小悪党たちの魅力。 この本のおかげで「三人吉三」はもとより、歌舞伎を観る楽しみが増えた。