この本で読者として想定されているのは、歌舞伎を少し知っていてさらに詳しくなりたいと願う程度の初心者だと思われます。
　歌舞伎の決まり事をほとんどを知らない方が読んでもわかるように、過不足無くわかりやすい言葉で書かれた説明は、「悪への招待状―幕末・黙阿弥歌舞伎の愉しみ」「心中への招待状―華麗なる恋愛死の世界」「新釈四谷怪談」の新書３冊でも見られた通り。まさに頭が良いとしか言いようがない手際の良さです。

　また、「仮名手本忠臣蔵」を例にあげ、歌舞伎の三大代表作のどこが問題なのかを語るなど、歌舞伎専門家では行えない突っ込んだするどい批評もあって、歌舞伎に詳しい方が読んでも、読み応えのある一冊に仕上がっています。

　伝統芸能としてではなく、演劇として、歌舞伎はどうなのかを考える演劇論としても読める入門書であり、そういったアプローチにはもっともふさわしい役者、十八代目中村勘三郎の舞台を中心にまとめられており、勘三郎のインタビューもついています。

　ついでに、歌舞伎座で見る芝居がなぜ素晴らしいのかの、トリビアもあり。

はじめて歌舞伎の入門書なる物を買って読みました。そしてすぐに読み終わりました。それだけ分かりやすく書かれている内容です。実際には
なかなか間近では見れない歌舞伎ですがこの本は少しでも見れた気にはしてくれる本でしたね。他の歌舞伎物の本にも手が出てしまう、まさに最初の１冊でした。

どのような歌舞伎通の本かと思いきや、中村勘九郎にまつわる演目を小林恭二氏独自の視点での解説を中心に中村勘九郎との対談をまじえて書かれています。
中村勘九郎好きにはたまらない1冊です。