予言の書
★★★★★
小泉八雲の「神国日本」は単なるオリエンタリズムに基づく日本礼賛ではない.日本の文化と伝統に対する深い理解に立脚しながら近代国家として歩み始めた明治日本に何が欠けているかを鋭く指摘した警鐘の書である.残念ながら,八雲が見事に予言した通り,その後の日本は民族自滅の道を歩んでしまったが,しかし今日でも八雲の指摘と予言はきわめて示唆に富んでいる.現代日本の政治・外交のあり方を真剣に考えようとする人にとっては必読である.このような古典的名著の邦訳がいずれの出版社でも品切れのままであることは誠に残念である.早い復刻が望まれる.