旧西ドイツ作家が書いた死との対話。
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戦後の西ドイツで新しい文学を目指したノサック。人間以外の何者かが、「変身する能力もないくせに自分以上のものになろとする人間たちの病気…」などと、人間についてペラペラしゃべる<人間界についてのある生物の報告>をはじめ、第2次世界大戦下の自らの体験を寓話・神話・SF・ドキュメントなど、様々な文学的試みで作品化した全11編の物語群。本書のタイトルでもあり、ノサックの出世作である「死神とのインタビュー」も、もちろん併録。
タイトルは毒々しいが、この1冊を読んで死にたくなる者は、まずいないだろう。むしろ、生きるために書かれた、死との真摯な対峙の書であると思う。