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日本沈没 第二部〈上〉 (小学館文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
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日本人の行く末の考察を越えた、素晴らしい作品 ★★★★★
 第一部ではひたすら日本列島の運命を追っかけていくことがテーマであり、その緊張と不安感は今でも現実生活に残っている。第二部の本書では、日本人の行動を追っかけることで地球の未来をシミュレートする事に成功していると思う。クラークが地球外の脅威を用いて地上を統一したとすれば、本作品は海底に没した国の生き残りが地球内部の脅威に対して地上を統一するという意義の深い作品だと思う。センセーショナルだった第一部に比べて、あまり読まれていないのが残念。これも国民の成熟度の低さ故か・・・。
 読んでいるときは地球全体に散らばる日本人のエピソードと政治的な駆け引きに、正直言ってSFらしさは感じられなかった。海底遺跡となった日本の典型的な風景に見入る慰霊祭のシーンをはじめとして、国土回復に向けてのナショナリズムに固執するところには、現実的だと思えるだけに作品としては違和感を感じた。中国やアメリカの動向もあまりにもリアルなので辟易した。
 しかし主人公たちの考え方が転換していく過程で、認識は大きく変わった。すごく広い視野に立たざるを得なくなったのだ。だから展望を見いだそうとする姿勢で終わる点はすごく良かった。さらに言えば、第一部の主人公たちが、安易に邂逅するメロドラマにならなかったことも嬉しかった。惜しむらくはこのスケールに合う政治家を日本では見かけたことがないことだが、それを望むのが間違いか・・・。
 プロジェクト体制で創作されたという本書のメイキング本も読みたい気持ちだ。
異変後の日本国、日本人・・夢と絶望・・さらに希望を見る超大作完了 ★★★★★
「異変」が起こるまでの日本国、日本人・・・それが日本沈没 (上巻) (下巻)だった。
あれから30年余り。
なんとしても異変以後の日本人を書きたかった筆者、小松左京氏。谷甲州氏、森下一仁氏のサポートを受けながら「世紀の巨編を完結」。それが日本沈没 第二部〈上〉〈下〉

ストーリーは「異変から25年」の設定から始まる。

内容は更に世界的に広がりを見せ、気がつけば「地球規模」の展開を見せていた。
国土を失った日本人達。・・・私の頭をかすめたのは、今現存している「イスラエル国」「イスラエル人」。何世紀にもわたって生きてきている流浪の民たち。思った通り「さまよえる日本人達」に、大きな影響を及ぼしていた。一つあきらかに異なる点・・それは、神、仏、なんでも拝んでしまう日本人の特性。それが他国との摩擦を小さくしていた一方で、むしろ「勤勉な人種」であることが、他国の民との摩擦になっていたりしている。

国家は何処へ??

「終章・竜の飛翔」・・・・には夢と絶望が同居していた。

日本沈没・全4冊。地球規模の政治や社会に関わりながら進む、大いに読み応えのある作品だった。