読まず嫌いを後悔しました
★★★★★
・・・本屋でイラストの雰囲気とあらすじを以前確認した事あるんです。
でもなかなか買う気になれなくて。
理由、それは内容がファンタジー路線では?とか、悪魔や天使の事よく分かんないしなどと思いまして。
・・・で、買ってからも中々読まず、やっと読んだのですが。
うぅぅ・・・心の奥底からじんわりと感動するような良い話じゃないですか。
最初はただの恋の話と読み進めていましたが後半運命的な事実が発覚します。
更にまた次々と明かされる事実に驚きの連続です。
こんなタイプの物語も描かれる方だったのかと改めて尊敬しました。
はっちゃけた設定とあとがきに書かれていましたが、なんのなんの。
その世界観にもどっぷりひたって読みきれる作品でした。
悪魔なのに、本を読んでいるとオスカー(攻め)の甘くゆったりとした愛にひたれます。
そしてセシル(受け)が幸せになれた事を心から喜ぶ事ができました。
本を読んでから思わず夜空を見上げ、眺めてしまいましたよ。
(イヤ、この空の下どこかで幸せに夜空を散歩してるんじゃないかとか)
そんな風に思いたいくらい、それくらい良かった。
文句なし。
★★★★★
わたし、かわいセンセイが好きなんですよ。
というか、たまたまセンセイが好きなものがすき。
あとがきを読むたびに実感。
つぼが一緒なんだと思います。
いわゆる天使と悪魔モノに属する作品。、
「ファンタジーはちょっと・・・」という方でも、かわいセンセイの作品にビビっと来たことある方だったら、食わず嫌いはもったいない。
何千年の時を生きて、善悪すらどうでもよくなっている悪魔、元高位天使と、
何かを期待すること、求めることを何もかも諦めている頑なな神学生の、本人たちは決して認めようとしない恋。
全能なる神すら二人を引き裂くことはできなかった、と。
著者お得意の大英帝国華やかなりし時代、イギリスの片田舎の神学校が舞台。
「片眼鏡」の活躍ぶりが、著者のこだわりを感じさせてにんまり。
堕天使と知らずに二人が結ばれてから正体がバレるまで、いやバレてからも、
お堅い神学生くんが人とのふれあいの幸福感を何度も振り返っていて、切ない・・・
二人の逢瀬(?)は、神学生くんのおずおずとした人なれない感じと、それをやんわり包み込む悪魔氏の余裕がにくい。
直接的な描写は多くはないのに、その手のシーンは圧縮された色気がすごいです。
永遠もしくはそれに等しい生を生きる存在と、限られた生を生きる存在のラブストーリーって
無条件に心惹かれるものがあります。
それが運命的であればあるほど。
「すべてを捧げる」という言葉がキリキリと胸を刺します。
本編後、短編が2編収録されていて、
1編は悪魔氏が堕天使となる前、天界でのストーリー。
これがまた王道的切なさで、大好物でした。
手の届かない存在への思慕、毎日捧げられる花一輪、失って初めて気づく想い。
吉原氏の「影の館」とか思い出しました。
悪魔氏の天界追放の理由が本編で明らかになったとき、うすうすわかってはいても、胸が震えました。
最後の一遍は後日譚で、よくある「現代に隠れ住むヴァンパイア」のような生活が描かれてます。
とにかくかわい先生ファンはマスト。
木原氏「Rose Garden」とか好きな方にもオススメ。
あれも痛い描写が出てきますが、こちらも負けてないです。
そして。
金銀妖瞳(ヘテロクロミア)という文字を見て某オスカー氏を思い出す方にもぜひ手にとって頂きたいです(笑)