世評の低いディランの作品の弁護に努める私でも、ディラン８０年代後半〜９０年年代のアルバムには弁護が難しい作品が少なくない。この作品はさしずめその代表だ。ディラン単独作の曲、他人の曲、他人との共作曲が混じった構成。アルバム全体の方向性が明確でなという声をよく聴くが、ディランにはそのようなアルバムは珍しくなく、逆に福袋的な傑作が多いので、やりたい曲をやりたいようにやるディランを悪く言うつもりはない。問題は名曲・名演充実度。そこそこの曲・演奏が集まっているので、本作を通して聴くのは苦ではないが、聴き終わって心に残る曲が１曲しかない。それはブラウンズビル・ガール。サム・シェパードとの共作だが、本作の１／３近くを占める１１分を超す大作。語りと歌を交えたドラマには完全にノック・アウトされる。

もう１曲名曲・名演があれば良いのだが、残念ながら星５個レベルに達するものは他にはない。２曲目などすばらしい出だしや子供の合唱が聞こえるあたりで思わず身をのりだすが、結局それ以上の劇的な展開はなく、尻すぼみで終わってしまうのに閉口してしまう。そういう名曲になれなかった曲の集まりという性格の強い作品だ。本作のジャケット・デザインも足を引っ張る要素である。

25年来のファンです。一通りそろえて、正規版以外のＣＤも持っていますが
80年代の後半、Oh!Mercy前の2枚は買っていませんでした。
チラッと音源を聞いたことがあるだけで、手を出していませんでしたが
このたびようやく入手しました。

中山康樹著「ディランを聴け！」で、評価が低いけど
悪くないＣＤという紹介もあったので期待しました。

感想としては、たしかにボブディラン好きには
悪くないCDという感じでした。最近のディランとも
違い、ノビノビ歌っておりますし、個人的には
好きです。

が初心者にはお勧めしません。
宗教三部作や、Street legalなどを
好む方は、持っていて良いと思います。

ノックドアウトローデッド
86年
ディランほど悪趣味なジャケを考えるミュージシャンも珍しい
まるで買うな!と購買層を馬鹿にしているようだ
久しぶりに聞き返してるが内容の方は悪くない
ゴスペル期のようなサウンドで熟年のブルースアルバムのようなオーバープロデュースみたい
現在のサウンドでやったなら名曲になりそうな佳曲揃い

1 ユーワナランブル
T-ボーンバーネットとアルクーパーをゲストに軽くブルース
2 ゼイキィルドヒム
ゴスペルで悪くないがコールアンドレスポンスで子供の聖歌隊はどうかと?
3 driftin'too far from shore
ギターにロンウッド
80年代のドラムはディランに合わない
つくづく浮わついた時代だったなぁ〜
4 プレシャスメモリィ
南国ムードのスティールパンでゆる〜いバラード
何かこの時期のディランは足元が見えていない印象
5 メイビーサムバディ
ネイバーフッドを改作した感じの明るい楽曲
6 BROWNSVILLE GIRL
サムシェパードとの競作
朗読で延々と物語を語るディランがメロディとなり歌になる
11分の大作で俺は好き
輸入盤で歌詞は知らないがメロディで感動する
7 ゴッドマイマインドメイクアップ
トムペテイとの競作
このリズムセッションはカッチョイイ
久々に聴いた拾い物のロックンロール
8 アンダーユアスペル
優しい女性コーラスが心地よいバラード
80年代はストリートリーガル辺りからのメロウなR&B調なアルバムが多い
聴きやすいが空気を切り裂くような閃きは薄い
ながらディランが堕ちた訳では無く時代に合わなかったのが正しいだろう
多分 これ等の佳曲の数々のアコースティックなデモバージョンなどあったらとても素晴らしい音源だろう

全体を通して聴くとサントラみたく物語性があるみたいで、ディランはやっぱりいいなあ。他のレビュアーの様に賢くないので、歌詞もわからず洋楽はメロディのみで聴いてるが、それでもディランの作品全部もってます。ブラウンズビルガールは十数分もあって意味もわからず延々流してても、それでもなにかここちよいのです。ディランはやっぱり神様。

Dylanという人は本当にセンスがわからない人だ。
このジャケットと内容で売れると思ってこのアルバムを出したのだろうか。
Dylan聴きつづけている人はなにかを求めて買うだろうが、まさか店頭で
「おお、よさそうじゃん」と衝動買いは絶対しないでしょ。
少なくともDylanを聴きなれていない人は手をださないでください。

他に一杯いいアルバムはあります。これをあせって買う必要はありません。
多分Dylan自身もこのアルバムをいいと思っていないだろう。その証拠に
このアルバムの曲を16年も続いているツアーで演奏したことがない。
（と断言していいかどうか不安だが、私は寡聞にして知らない）