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人間喜劇 (ベスト版 文学のおくりもの)

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 晶文社
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小島信夫の解説がみごと ★★★★★
 この本の真の訳者は田中小実昌です。小島信夫が別のところで田中の下訳は、ほとんど直すところが無かったと書いていました。元の訳本は1957年に研究社から出されました。そう思ってみるとなるほど訳文の日本語としてのこなれかたは田中小実昌のものです。そしてサロイヤンの文体にはぴったりです。
 小島信夫は書きました。“善人部落を描いた小説には多くの死が訪れる。そして善人たちは一家言を持っている。彼らは人に教えることができる“と。小島信夫の「ウィリアム・サロイヤンについて」という解説はみごとな『人間喜劇』論であるとともに、小島信夫の例えば『抱擁家族』論、『島』論にもなっています。
 サロイヤンの小説は、まるでもうひとつのバイブルのような趣きとなります。
読後に深まるふしぎな味わい ★★★★★
戦争中のアメリカ、イサカという架空の町に住むさまざまな登場人物が担う小さなエピソードの積み重ねで物語が形作られている。
とはいえひとつひとつのエピソード間の関連性に乏しく、全体のテンポや物語の流れ自体はよくない。一読すれば退屈さを感じるかもしれない。
しかし独特の台詞まわし、描かれる登場人物の神聖なまでの善良さは読後、ふしぎな味わいとして残る。

再読の欲求に応えるうち、かならずあなたのフェイバリットに数えられる作品になるはずだ。

特に電報局に若い強盗が押し入るエピソードの電報士と強盗のやりとりは感涙必至。
この世でもっとも優しい小説。それはもはや聖書以上だ。

心から素敵な本だと思いました ★★★★★
文章はとても簡単なんです。でも、とーっても素敵な言葉がちりばめられています。あとがきにもありましたが、「真似しようと思ってもできない」のです。ゆっくり読みたい本です。あと余談ですが、挿絵の版画があまりかわいくないのですが、何故かそれも素敵です。