第一部から60年後
★★★★☆
いきなり、冒頭で東国から戻る年老いた「牛」が登場し、
第一部から一気に60年過ぎてしまい、空海も亡くなっている設定には、
とても驚き、最初は話の行方が良く判らないような感を受けた。
が、物語が進むにつれ、「牛」の東国での60年が次第に判ってくる仕掛けが、
なかなか良く出来ていて面白いと思った。
また、今回は身分制度を扱った奴(やっこ)・石根と良民の娘・夜登女の
悲恋物語なども絡み、第一部よりドラマチックな展開になっている。
しかし、その反面、前の「牛」の「東のお爺」の存在感が大きく、
二代目「牛」(豊安)の影が少々薄く、残念な気がしたが、
ラストにびっくりする仕掛けが待っていて、
その印象を多少は払拭するのも、良く出来た構成なのかもしれない。