イスラムの栄光の時代
★★★★★
宗教として、生活様式としてのイスラムが伝播していく過程に照準を絞った巻。イスラムが生まれくる前提になったササン朝ペルシアについての記述から預言者ムハンマドの登場、経典としてのクルアーン・共同体としてのウンマ形成からイスラム国家の形成、他民族を従えるイスラム帝国の成立、その分裂、チュルク(トルコ)とモンゴルの侵入、それらの過程を経たイスラムの伝播が本書の主題で、物語調の記述を読んでいると「イスラムの栄光」というタイトルがふさわしく思えてくる。チュルクとモンゴルの侵略でさえもイスラムの伝播に効き目があったのには驚いた。
その後、第十九巻では「イスラムの受難」とでもいえる出来事が累々記されている分、この巻のイスラム世界は輝かしく映る。
十九巻と併せて読むとより印象的だと思う。