チョムスキーすげぇぇぇぇぇ
★★★★☆
1992年に発表され、22個の映画賞を受賞したドキュメンタリーフィルムだ。
ノーム・チョムスキーは「生成文法理論」を創始した言語学者だが、ベトナム反戦運動以降、政治活動にも積極的で、著作の半分は政治(学)関係の書物だという。私にとっては言語学者としてのチョムスキー――長く歴史に名を残すに違いない革命家だ――のほうが興味深いのだが、政治運動においてもなかなか過激な人で、賛成できない内容も多いものの、その度胸には頭が下がる。
この映画はチョムスキーへのインタビューや、チョムスキーと他の論者(や一般人)の論争をまとめたもの。マスメディアを牛耳っているアメリカの権力者たちが、いかに悪辣な手口で民衆を欺いているかを、チョムスキーが暴露してやるというような趣旨だ。
たとえば、カンボジアのポル・ポトによる民衆虐殺は大々的に非難されるのに、アメリカがサポートしていたとされるインドネシア政府による東ティモールへの弾圧は、ほとんとメディアで取りあげられていなかった。
映画のタイトル「マニュファクチャリング・コンセント(合意の捏造)」の意味は、民主主義の社会で 「国民の合意」と呼ばれているものは、民衆の自発的な意思に基づくものではなく、マスメディアを通じて権力者によってコントロールされたものに過ぎないということである。だからチョムスキーの目指す政体は、「デモクラシー」ではなく「アナーキズム」だ。
とにかくおびただしい具体的な事例を集めてくるチョムスキーの調査能力は恐ろしいもので、理論的な枠組みなどとは関係なく、事実の報告を聞いているだけでも十分面白い。
ただやはり、個々の事例についての解釈が、すべて「権力者が民衆を操ろうとしている」という陰謀説めいたストーリーに基づいているから、違和感を覚える箇所もたくさんある。
たぶん、恐ろしい悪意と力を持った誰かが善良な民衆の操作を企てていると考えるよりも、政治・経済システムそのものの欠陥として、チョムスキーが大事とする諸価値――自由、平等、人権など――が自ずと損なわれていくような状況が作り出されていると考えたほうが良い場合も多いのではないかと思う。
思想統制
★★★★★
私たちが考えて行動している事が、全て支配者にコントロールされているのでは?と考えさせられる内容です。
考えてみれば自分も、ブランド商品に憧れ、高級車に憧れ、貴族の生活に憧れて、贅を追い求める生活をしています。
これらの購買意欲を煽っているのは紛れもなくメディアでしょう。
正義の為に働くのではなく、金を稼ぐ為に働くことが先にたっています。
今までアメリカが正義だと信じてきましたが、チョムスキーのおかげでメディアに制約されない思想が養えました。
チョムスキーを知ることはできる。
★★★☆☆
頼もしいメディア批判の先駆者、アメリカの良識者、ノーム・チョムスキーのドキュメンタリー。
いとうせいこうさんが紹介しているように、彼のメディア批判に触れずして、映画もインターネットもテレビも観ることができない現代を我々は生きている。映画の中で彼は言う。「不快な意見に対して自由を認めてこそ言論の自由が成り立つのだから、権力に抗うことができないメディアしか持たない国は、スターリンやゲッペルスに支配されている国に生きているのとなんら変わらない。」と。彼の良識によると、第二次世界大戦後のアメリカの指導者(勿論ケネディも含めて)は全員処刑されてしかるべきだということになるのだそうだ。
167分もある作品は、前編と後編に分かれている。前編では、東ティモールへのインドネシアの侵略に国連又メディアがほとんど関与しなかったことや、カンボジアにおけるアメリカの侵略をメディアが好んで取り上げなかったことを例にあげて、終始メディア批判を行っている(チョムスキーは様々な著書でメディア批判を行っている。例えば著書「メディアコントロール」の中では、セプテンバーイレブン、アメリカが作り上げたフセイン像に対する誤解、アメリカのキューバ侵攻についてメディア批判を行っている)。後編では、我々が企業の利益至上主義に毒されていない情報を得るためのメディア、オルタナティブメディア(広告を排除することで、市民が支配するメディア)についての紹介を交えて、自分が自分で情報を取りに行くことの大切さを主張している。
マスコミは利益を得るために報道する
★★★★★
私たちはテレビや新聞、雑誌が言うことはすべて「事実」であり、本当に起こったことだと信じて疑いません。
ところが、チョムスキーは明確に言います。
「メディアは利益を得るために報道する。利益に反することは報じないし、利益になるならば実際に起こったことを歪曲して伝える。そして人々に、マスコミの利益は自分たちの利益であると思いこませるのだ」
私はこの映画を前、京都で見ました。そしてマスコミに対する目が完全に変わりました。
必見です。騙されないために、この映画を見るべきです。