深い・・・
★★★★★
シンプルな絵の中に深い内容がもみこまれていて、とても面白かったです。さそうさんの作品はこのマエストロしか読んでいないのですが、他の作品も読んでみたくなりました。オーケストラの事をまったく知らない私ですが、楽器の事や一つ一つの役割など興味深く読みました。
全三巻中の「間奏曲」
★★★☆☆
本巻では、橘あまね(第13話)をはじめとする主要な楽団員の来歴が次から次へと挿話的に語られ、皆それぞれに重い過去や現実を背負っている(背負わされている)事情が明らかにされる。その意味で、本巻は全巻中のいわば「intermezzo」ともいうべき作品。第14話では、天道と香坂の接点がようやく明らかにされ、その交錯を起点として物語は愈々最終巻へと流れ込んでゆく。
第13話「オクターブの跳躍」で泣きました。
★★★★★
第13話は巻中最も短い話で台詞も少ないです。
しかし私の心には一番響きました。
第1巻ではマエストロの強烈な登場に圧倒されまくりでした。いわば単発のメロディーが飛び交うようなセンセーションでした。メンバーのエピソードもその強烈な光の下に描かれていたように感じました。
この第2巻からはオケメンバー一人一人の奏でる文脈の波が重なり合って、物語としての下地ができてきたなという印象を受けました。この下地ができたからこそ第13話に深い意味が生まれます。この一話で、読者がこの物語とつながり、文脈を重ね合わせられるんじゃないかと思いました。
作者さそうさんのアレンジの妙ですね。
音楽も人間模様もより豊かに
★★★★★
不況で解散の憂き目にあったオーケストラ・中央交響楽団と、彼らを再結集した謎の老人・天道徹三郎の物語を描いた、さそうあきら先生の漫画「マエストロ」の2巻が1巻からおよそ2年半弱を経てようやく出ました。1巻の後、ネットで続きが配信されたのを読んでましたが、やはり単行本として出版されたのを読むと感慨深いものがあります。
さて、1巻に続いて相変わらず天道の罵声混じりで破天荒な指揮に振り回される中央交響楽団の面々ですが、それでも彼らの演奏は日を追うごとに磨き抜かれていく過程が描かれています。また、そんな中で中央交響楽団のメンバーそれぞれの悩みやその他悲喜こもごもが織り込まれ、それが音楽として現れるのが上手く描写されてます。そしてこの巻で、今までほとんど素性の知れなかった天道の過去が一部ですが出てきますので、そちらも必見です。
「のだめカンタービレ」のドラマ化でクラシックへの関心が高まっている昨今、同じくオーケストラを描いたこの作品、今年の春公開される映画「神童」の原作者の作品だけに、こちらも映画かドラマになるだろうかと期待しています。