何か変
★☆☆☆☆
様々な人達の引用が満載。それは貴重で良いのだが、それを分解してただ繰り返して説明するという手法?は同語反復
で酷いものだ。唯の水増し。
さらに酷いのは文章。「とすれば」とか「翻っていうと」とかいう接続の言葉の頻出、「わけだ」、「わけだった」等
の文末。まあ、一言でいうと日本語の文章としては最悪。主題?の大川周明の文章とは雲泥の差。
他の著作も同じなのでこの著者の癖のようだが、誰も指摘しないのだろうか。
内容もまた、全体の論理、展開が全く不明。何を言いたいのか分からん。なんとなく大川周明を唯の侵略的な帝国主義
者ではないよ、と言おうとしているような気がするが、それだけならこんなにたくさん書く必要なし。
もっと明解な文章で無駄を省いて、コンパクトに書き直さなければ駄目。
中途半端史観の中途半端評論
★★☆☆☆
まず著者は、「天皇制ファシズム」という言葉を何の検証もなく使っている。もうこの時点で、失格。更に、日本は「中国を侵略」、アメリカは、ハワイ、フィリピンを「獲得」「戦略拠点とした」と書くダブルスタンダード。大東亜戦争(対米英戦)は、支那事変の延長であること(米英は蒋介石を援助し、対日本代理戦争をしていたこと)が分かっていない知識不足は如何ともしがたい。
大川周明を取り上げたことだけが、唯一の評価点。
現代に蘇る 大川周明
★★★★★
最近大川周明に興味が出てきたことで本書を手にした。僕の興味は二点である。
一点目。最近の原油資源高騰の中で 中東諸国やロシアの存在感が大きくなっている。ことにサブプライム問題で中東のファンドが欧米の金融機関に出資する話が多い。イスラム金融への言及も日経新聞でも増えた。つまり 中東が非常に身近に感じられる時代になった。
裏を返すと これまでは中東は原油の供給地という程度の認識で 日本人には「遠くて遠い国」であったのだと思う。
そんな中で 大川が戦前からイスラムに対し大きな関心を寄せていた点を知り 彼の視野の広さに惹かれた点にある。911テロに見られるイスラムと欧米文化の「文明の衝突」を60年前に視界に入れていた大川の知性には恐れ入るばかりだ。
二点目。少子高齢化の日本で働いていると グローバリゼーション イコール 海外でのビジネス発掘という文脈で語られる場面が本当に増えてきた。この文脈はビジネスの戦略として語られているわけだが 昔の植民地獲得を思わせるものがあるのではないかという気がしている。
その中で「アジア主義」を唱えた大川の言説は 21世紀の「グローバリゼーション」を考える上で 示唆されるものがあるのではないかということである。
実際 本書で描かれる大川は日本、インド、中国が連携して欧米に対抗している姿を夢見ている。これは例えば最近言われるアジア通貨設立などにも どこか共鳴した響きがあるのだと僕は思うのだ。
大川は東京裁判での狂態で ある意味で僕らが封印してしまった「知性」であることを最近強く感じる。大川の言説は今なお新しい。そうして 21世紀の僕らに対しても実に示唆に富んでいる。最近 佐藤優、中島岳志といった 大川を語る新進気鋭の論者が出てきた。僕も彼らを通じて大川を知ったわけだが その事に感謝している次第である。
大川周明を通して見たアジアの解放
★★★★☆
極東裁判で東条英機の頭をぽかったやったという人。この本に書かれている大川周明、ヨーロッパの植民地化からアジアを開放せねばという
岡倉天心 西郷隆盛 ガンジーなどの話から始まっていつの間にか日本もアジアを植民地化しようという動きになってしまった。いままで戦争という観点からの第2次大戦はなんとなく話としてわかっていたが、根底にあるアジア開放という考があったこと。残念ながらいつの間にか違った方向に行ってしまったが読んでいて面白かった。最初に著者がこの話を書いたのは1985年であるが、この手の話はそんなに売れるものではないので絶版になってしまったのを岩波から出したという。最近面白い本がなくなっていく中でやはり岩波文庫。良識ある良い本をまた出してくれた。まだ東京裁判のところまでしか読んでいませんが