インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

なぜ遠くの貧しい人への義務があるのか―世界的貧困と人権

価格: ¥3,150
カテゴリ: 単行本
ブランド: 生活書院
Amazon.co.jpで確認
原著は★5だが ★☆☆☆☆
既に何人かの方がレビューされていますが、ポッゲの主張はとても意義のあるものです。この30年、特に東西冷戦構造が実際に崩壊した20年間のグローバリゼーションの動きの中で、自由と平等が並立せず対峙する概念になってしまっています。西洋の伝統的な二元論からの発想はビジネスの勝ち負け、優劣には有用ですが、最大多数の幸福を実現する社会政策を進めるには欠陥があり過ぎます。解決すべき事項への具体的な提案も示す著者の姿勢は高く評価できますし、我々がこれから真剣に議論すべき内容です。
ところが、本書の訳のおおよそ半分を担当する、アシスタントと称するS氏の訳が全くダメで真意を十分に読み取れません。これだけ直訳をそのまま掲載したのは監訳の立岩先生の責任も大です。S氏自身、本書の内容を十分に理解できていないのではないでしょうか。あまりにも酷いです。
故に訳本については★1とします。繰り返しますが原著は★5です。
グローバルな正義を目指すべきであるという力強い主張 ★★★★★
 現存するグローバルな制度的秩序が著しく不平等であるということはすでに何度も言われてきたし、ほとんどの人が問われればそう認めるだろう。しかし、それは自分たちに責任があり、不正義であるから変えていくべきだとする意見まで持っているものは少ない。ポッゲはそのように考えなければいけないということを本書において説得的に示している。著者は、先ず世界規模での不平等の著しさとその拡大を基本的なデータを使って改めて提示する。その上で、絶対的な貧困情況に置かれる人々をつくりだしてしまう現在の秩序は人権を侵害しているものであるという。そして富裕層(日本国の住民のほとんどもここに含まれる)がこのような秩序を生み出しているにもかかわらず、さらに僅かな費用を担うことで絶対的貧困という人権侵害を回避できるにもかかわらず、回避していないという点において責任があり、不正義であると主張している。このことをポッゲは「人に危害を加えてはならない」という消極的義務の延長線上で考えているのだが、あとがきで監訳者の立岩真也の述べている通り、異論がありうる点だろう。
 さらにポッゲのような主張は改良主義的であると批判されるだろうし、貧者の自律から出発して考えなければならないという人たちもいるだろう。ポッゲに問うてみれば、それは次のステップだというかもしれないし、立場が違うというかもしれない。
 しかしそのような異論を挟んでもなお、今のグローバルな不平等は不正義であり、改善されるべきだという主張は揺るがないだろう。そのように思う人が増えることは決して悪いことではなく、むしろ静かに世界を変えていくための一つの途でもあるだろう。
邦題の通り ★★★★★
訳書タイトルは原著タイトルの直訳ではないが、
本書の内容が説得的で具体的でわかりやすくかつ鋭いことを
端的に的確に身をもって表しているという意味で
最適な邦題ではなかろうか。
読みながら、批判や反論が出てくるかもしれない。
けれど真摯に再読、三読すれば、
自分の批判の多くは著者の前で充分な批判たりえないこと、
半端な思いつきだったことを思い知らされる。
むしろそうして返り討ちに見舞われることが
本書を読むことの大きな収穫のひとつだ。
著者の議論に一石を投じようとすることは
またとない思考の鍛錬になるだろうから。
それぐらい、本書の議論は調べつくされ考えつくされた上で
真摯に書かれていると思う。
とはいえ、特に普段から世界の貧困のことは考えてません
という人にも是非頁をめくってみてほしい。
ごくおおざっぱに、
「私は遠くの貧しい人に義務がある」と言えるのが
どういう論理でなのかが気になるなら前半から、
どういう場面でなのかを知りたいなら後半からどうぞ。
想像力の貧困 ★★★★★
「なぜ遠くの貧しい人への義務があるのか」
想像力の貧困か
貧困の想像力か
世界中に対して自分のやっていることの意味を考えるよい機会です。
グローバル正義論の記念碑的里程標 ★★★★★
今日のグローバル経済とそれを支える諸制度/諸機関。
その諸制度/諸機関を(ときに無自覚的に)支える先進国の「我々」。
その「我々」には「遠くの/見知らぬ貧しい人への(倫理的)義務がある」。
かかる「義務」の「理由」をめぐる(ジョン・ロールズの高弟にして批判的継承者として名高い)トマス・ポッゲの強靱な思考が、本書を縦断する力線にほかならない。

その強力な論証は、二方面作戦によって試みられる。すなわちこの世界における貧困の機序を広範かつ最新のデータにもとづき示すことによって。かかる知見から導かれる「(義務の)理由」の論理を政治哲学・倫理学・医療経済学など複数の知の縦横無尽な踏破をつうじ紡ぎあげることによって。

ところでかかる論証の試みははたして成功しているのか。
それを知るためには本書を手にとるしかない。
マウスポインタを右手上手の方向に移動させてクリックするしかない。

ところがその同じ本書は心して読む必要がある。
興味本位で開いてはいけない(いいけど)。
ポッゲの理説によれば、その「理由」を知ってしまったからには、〈あなた〉には「義務」が生じるからだ。
本書を「開く」ことはとりもなおさず、グローバルな倫理的主体へ、その転生へと〈あなた〉が「開かれる」ことを意味するからだ。

警告はしておいた。
「ここ」がロードスか、「ここ」で飛ぶかは〈あなた〉しだいだ。