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レーニン (光文社古典新訳文庫)

価格: ¥880
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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読み物としてはよいが、一面的かつ部分的なエピソード集でしかないことは留意すべき。 ★★☆☆☆
 レーニンについて、トロツキーが書いた本。
 トロツキーは、チェ・ゲバラと並ぶ、中二病的な革命家英雄視の中でも最大のヒーローの一人であり、後に否定されたスターリンとの確執もあり、本来あるべき社会主義の体現者のような印象を一部の人は抱いている。また、かれはレーニンの同志であり、直接かれを知っていた。だから一次情報としての本書の価値は否定しがたい。このため、本書が非常に優れたレーニン伝であるかのような印象が一部にはある。

 確かに本書は読み物としてはおもしろい。トロツキーは超一流のアジテーターだけあって、エピソードの盛り上げ方はとても上手だ。
 しかしながら本書は、レーニンについて基礎知識のない人が一からまともな理解を得ようとするにはほとんど役に立たない。基本的に、レーニンの悪いところ、ダメなところは一切書いていない。トロツキーは、スターリンが正しいレーニン思想をゆがめてしまった(そして自分こそは正しい(けんかする前の)レーニン思想の伝承者である)と思っているので、レーニンを悪く書くはずもない。そして基本的にはレーニンと同じ党派に属してきた人物だから、客観的に見ればレーニンがまったく一貫性のない党派的なふるまいを見せても、それを公平に描くことはない。身内びいきが非常によくない形で満ちており、現代におけるレーニン理解のベースにするにはあまりに偏っている。

 また、トロツキー自身も書いているとおり、まだ完成したものではなく、部分的なメモと回想記にとどまっている。革命後の話はほとんどない。

 したがって本書を読んでレーニンについて何かわかった気になるのは大変危険。サーヴィス「レーニン (上)」などで全体像をきちんと把握して、それについてのエピソード集として流し読みするのが適切。
他山の石 ★★★★☆
 日本を考えるに当って、隣国ロシアをぬきに考えることは歴史的にも、思想的にも、経済的にも出来ないと思います。1917年のボリシェヴィキ革命から1991年のソ連崩壊までの約70年に及ぶ共産主義の壮大な実験の経過と結果は色々な意味で、他人事ではないと考えます。日本はソ連崩壊とほぼ時を同じくしてバブル崩壊(第二の敗戦)を経験しました。
 隣国ロシアはヨーロッパの大国です。ロシアの近現代史を知ることは、現在の日本の状況を客観的に知る手がかりにもなると思い本書を手にしました。

おもしろい ★★★★★
ソ連時代に共産党の人間がレーニンについて書いた本なのだから、ちょっと身構えていた。いかにもソビエト的というか共産党的文体なのかなと。しかし読み始めてみると、イデオロギー臭があまりないのに驚いた。著者は序文で、これはレーニンの伝記ではなく、のちに誰かがそうしたまとまった著作を書くための材料/スケッチであるに過ぎないと書いているが、たしかにトロツキーが自分が見ていた範囲におけるレーニンを書いたというだけのもので、あっさりしている(解説や付録を除くと300頁ほどだが、その中で訳注が締める割合も多い)。テーマごとにきった断章形式で読みやすく、神格化されていないレーニンの人物がわかるのがおもしろい。レーニンとトロツキーの関係の大きな歴史や当時党やトロツキーを取り巻いていた状況などについても丁寧な解説がついているので、あわせて読むと理解が深まる(これがあるので、レビューの☆がプラス1で5つ星)。そしてこの著者がとくに明晰だと思ったのは、付録として付いている、ゴーリキーや、他のレーニンを神格化する人物についての反論の部分だ。彼のレーニンについての描写や言葉遣いは、文学者のゴーリキーが描き出したものよりも厳密で精緻であると感じられたし、非常に微妙なバランスでもって丁寧に言葉を操っていることが感じられた。また、本書についての反論に対する反論は、見事な説得力のあるロジックに貫かれていて驚かされる。
こんな「翻訳」が許されるのだろうか? ★☆☆☆☆
星1つさえ与えられない。「ロシア語原典からの初めての翻訳」と謳っているが、松田道雄訳を大幅に踏襲した「偽装」商品である。インターネット上で「森田成也訳『レーニン』の検討」というブログを読んで愕然とした。誤訳もひどい。こんなものを出版することがどうして許されるのだろうか?
素顔のレーニン像 ★★★★★
 さて、レーニンと共にロシア革命を指導し、スターリンによって暗殺された悲運の革命かトロツキーがレーニンを書いたものです。レーニンに関する本は色々と出版されていますが、偶像化か、悪玉かのどちらかに描かれる場合が多いですが、この本は人間くさいレーニンの姿をトロツキーの鮮やかな文章で綴られています。光文社の企画はこの様な本を翻訳あるいは改訳してくれて出版してくれることです。訳文の出来は個人の評価に委ねますが、レーニンをこれだけ間近にいた人物が書いていることです。また、既にこのときにはスターリンによる粛正および恐怖政治が敷かれており何とかこの本を出版すべくトロツキーの苦心も表れています。スターリンの呪縛、ソビエトの呪縛から解き放たれた今こそ、トロツキー、レーニンおよびマルクスを何のバイアスも無く研究し読むことが出来ることは良いことです。