恋だとか付き合うだとかいうよりも、夢をあきらめるとか夢をどこまで追いかけるとかという、人生感のような切なさを感じさせてくれた本。

カップリングは基本のガタイよくてかっこいい攻とかわいい受。そしてこの可愛い受が意外に芯が強かったりする。
出会って、夢をあきらめる決心をつけて結ばれるまで。そして後半は「世界で一番大好きだ」のその後話。
ここまではふつう。

気に入ったのは最後にちょこっと入っていた「あなたが一番大好きだ」
数年後、公彰も大学を卒業して就職した後の話。二人が一緒に住んでいて、竜一は相変わらず定食屋で働きながら家事をこなす。攻なのに家事専門。受なのに外にでる。
このギャップが面白い。
攻が奥さん、受が旦那さん。
養ってあげますと公言する受は相変わらず可愛いけど、でも少しだけ成長した姿がうかがえる。
ああ、萌える。
エロも萌え風味。

可愛い受が実はしっかりもので、攻を叱咤するぐらいはっきりしていると逆に萌える。

最初は、正直ミヤちゃん（受）の設定と絵がかみ合わな過ぎて、
「んー」って思いました。
ですが、読み進めていけば、そこは関係なし。
ミヤちゃんの大きさには、とって感動しました！

個人的には、竜一がとても、気に入りました〜。
今まで、自分の気持ちを隠して年下の男の子をリードする攻かと思いきや、
たくさんの不安を抱えて、揺れ動いて、そして甘えて…と、
人間らしさが満載でした！
そして、ミヤちゃんと結ばれた後の、可愛さと言ったら…
ミヤちゃんの可愛さとは別の可愛さですｗ
男って、完全に相手に落ちたらあぁなるんだと思います！

「一番好き」って言葉は、小説でも漫画でもすぐ使われますが、
この作品は、大事に使っていてそこも、個人的によかったです！

売れない芸人・竜一×夢を持てないと悩む大学生・ミヤちゃんのラブストーリー。

同作者の「何でやねん!」「月も星もない」はサクセスストーリーですよね。もちろんバンデージにもパイロットランプにも様々な紆余曲折があり、葛藤があるのですが、最終的には成功者。
この作品の主人公・竜一は10年近くも下積み生活。
けれど現実にはほとんどの人が一度も表舞台に立つことなく、夢半ばにして去っていくんですから。

そこがとてもよく描かれていました。特に、竜一や他の駆け出し芸人が出ている無料のお笑いライブに、ミヤちゃんが招かれて行くエピソードがあるのですが、その辺りが秀逸。
笑えなかった原因を冷静に分析するミヤちゃんの聡明さ、優しさ。それを伝えられた竜一の気持ち。
上手いなぁ。

もちろんラブもあります。普段は明るくおちゃらけている竜一の裏側に触れたミヤちゃん、だんだんひかれていきます。色々な表情を隠し持っている人は魅力的だし、意外性にやられますもんね、不意討ち(笑)

読んでいて胸があったかくなる作品でした。

ミヤちゃん〔受け〕めっちゃオトコマエ。まだ１０代なのに器がおっきくて強いところが好みです。竜一と１０歳以上年の差がありますが、絶対ミヤちゃんの方が男らしい！それは、最後の二人の４年後〔あなたが一番大好きだ〕を読めばよーくわかります。竜一はひょうひょうと見せながら、実は、悩みやあせりを感じながら生きてるところが現実っぽくて…いてるは、こんな兄ちゃん…と、思わずつっこんでしまいます。〔バンテージ〕や〔パイロットランプ〕の名前も懐かしかったです。一番好きなフレーズな竜一の、オッサンめろめろでした〔笑〕