不安感をあおる……
★★★☆☆
新城カズマさんは「蓬莱学園の冒険」でマスターを勤めてはった時から知っているのですが、大きな風呂敷を広げて、小さな商品を魅力的に売るのが得意。蓬莱学園の舞台設定はものすごい好きやったんやけど……
タイムトラベル物の小説をリストマニアで作成している何人かがこの作品を挙げているので、興味を持って購入したんですが、下巻に向けて正直不安感をあおられています。
数秒先の未来に「跳んでしまう」幼なじみと、その現象を夏休みの暇つぶしに研究する仲間たち。過去に発表されたタイムトラベル物の小説がポンポンと例示されて、新城さんがそういう作品が好きなことは良く分かったのですが…………よっぽどのアイデアがないとものすごく失敗作になってしまいそうな気がします。
最後まで読み終える前にレビューするのは初めてですが、色々と不安感をあおる作品だったので。
ああ、面白かった。
★★★★★
この小説は、幼馴染を中心にして起きた、高校一年生の時のひと夏の事件を、何十年か
後に主人公が思い返して書いているという形式をとった、過去への追憶と悔恨の物語です。
もう戻れないあの時。もうやり直せないあの瞬間。
でも決して忘れることはできない、大切な思い出。
こういうノスタルジックな想いに共感できるのなら、この本は大いに楽しめます。
さらに、タイムトラベルものが好きなら、確実に忘れられない作品になります。
ノスタルジックな物語り
★★★★☆
思わせぶりな導入部分の作り物めいた感じが嫌味に思えて、しばらく積読状態でした。しかし、導入部分を過ぎると、この作品に流れる寂寥感というか喪失感を背景に、印象的なエピソードの連なりが広がっていきます。
失ったもの、過ぎ去ったものへの憧憬が根底にあるようなので、どちらかというと高校を卒業した後に読んだほうが、この小説の持つ雰囲気を共感できるのではないでしょうか?
人を選ぶかも
★★★☆☆
自分としては結構面白かったです。淡々と進むストーリー、感情をあからさまに出さないキャラクター達。タイムトラベルという大げさなストーリーにできるネタを使いながら静かに進むストーリー。それが余計に学生の静かな夏休みの雰囲気をリアルに描いています。
ただ、受け入れられない人には面白くない本だと思います。特にキャラクター達に共感できない人や、静かな夏休みの雰囲気を理解できない人は絶対無理です。基本的に冷めたキャラクター達の静かなストーリーなのでエンターテイメント的な要素を求める人は絶対読まないほうがいいです。
理解不能なメインキャラクターたち
★★☆☆☆
メインキャラクター二人の選択や行動はおじさんには
全く理解できません。特にヒロイン。読み返したくなるほど
面白い筋でもありませんでした。
ちなみに、私はご都合主義だろうと何だろうと「夏への扉」は
面白いと思うタイプです。でも、この話はいただけません。
思うに、こんなことが現実に起こったら、驚天動地、大騒ぎに
なるはずなのに、結局登場人物の人生に対して大した意味が
ない様なのが、著しく肩透かしに思えるのではないかと思います。
こんな大事件を、たかが青春の1ページのようにとどめておけるのか?
人物設定についても、色々用意した割には大した落ちじゃないと
思います。
著者が何を伝えたかったのか、おじさんの心には届かなかった
ようです。ごく局所的には面白いところもあったので、星2つ。