今ごろになってやっと聴くことが出来たこのアルバム。
なんという面白い内容。
最初の一曲でなんじゃこりゃ！とおどろいて、最後まで聞いていくと、やっぱり千里さんすてきやん、と思ってしまう。
声が出なくなってきたのはほんとに惜しいです。千里さん自身の声でしか伝わらない千里さんの曲っていうものが絶対あると思うので。
歌詞にキュンとして、気持ちいいメロディーにのみこまれて、そんな千里さんの作品は本当に面白い。

20年も前になる学生時代、千里くんが大好きでずっとCDを買っては聞いて、千里ワールドに浸っていたけれど、なぜか数枚抜けていたため、最近それらを買い集め始めました。その中の一枚がこのアルバム。なんの違和感もなく、幸せな気分に包まれながら聴いています。誰になんと言われようと、私は千里くんが大好き！この人の作り出す世界は温かく、どんなにトゲトゲ・イガイガした毎日を送っていようと、ほわーんと温かい気持ちにしてくれます。人間らしく生きていこう、「生かされている」毎日を存分楽しもう！そんな純粋な気持ちにしてくれるのが「大江千里」というアーティストのすごさだと改めて実感しています。今の時代、類稀な存在とは彼のような人を言うんだろうな、と心から「ありがとう！」と叫びたい気持ちでいっぱいです。

「歌が上手い」とは、どういうことなんだろう。このアルバムを何度も聴き終える度に自分の中で繰り返される疑問。アルバムの中の彼の歌声はしゃがれたような、かすれたような感じで、いわゆる一般的にいう上手い歌ではない。だけど・・・心に残るこの気持ちは何だろう？揺さぶられるようなこの感覚は何だろう？ああ、この人は本当に心の底から、この歌を伝えようとしている、こちらが精一杯受け止めなければこぼれてしまいそうな感情があふれている・・・歌を上手く歌うこと、それ自体が目的になってしまうような風潮の世の中だけど、この人にはそんなことは必要もない。溢れんばかりの才能で語りかけてくる。僕はそのすべてを受け止めようとまたCDのスイッチを入れた。

一曲目の「Tiger Champion」で度肝を抜かれ、「碧の蹉跌」で切なさが炸裂する。
坂本九さんのカヴァーや、プリンセス・テンコーに宛てた曲（The Muses）、まるで文学作品のような「冬の背骨」、人生の応援歌「This is my life」、理屈ぬきに感動を覚える「ハレルヤ」…
曲順がすばらしく、通して聞けば知らないうちに大江千里の世界にどっぷりはまっていくのは必至。

千里さんはもともと「上手い」とはいえない歌手だったと思う。
数年前のどを痛めてからはファンであっても聞きづらいものになったのでは？とさえ思う。
だけど、不思議と彼の曲にはこの声がぴたっとはまるのだ。
どんな上手い歌手にも出せない不思議な魅力がこの人の声にはある。
それを再認識する一枚。オススメです。

In this album,songs have a lot of "retro" flavor. His voice sounds different (not a positive change), he sings simply badly in some tracks,and some songs are hard to follow music wise. Lyrics are at their usual high quality; however, you could not help but to sense abandonment, loneliness, weakness and isolation. I like tracks like "Kaze ga fuiteru" and "Tiger Champion", but over all, in comparison with other extraordinary works Senri-san has done, this album makes you wonder what was going on with Senri-san when making this album. I love Senri-san's work, but I can give only 3 stars.