スティーリー・ダンっぽさが出る前の青春NWポップ
★★★★☆
80年代に最盛期を過ごしたこのバンドは、英国NWポップに米国AORの香り、特にスティーリー・ダンへの憧憬がブレンドされるという、かなり変わった音を嗜好していた人達だったと総括できると思う。ただ、この傾向が顕著になってくるのはスティーリー・ダンからウォルター・ベッカーを迎えた次作以降であり、二作目である本作はこのような傾向が出る以前の、「バンド構成でやるシンセ・ポップ」をまだ鳴らしている時期の作品である。当時よく転がっていた音ではあるのだが、全体的に夏の透明感が似合う爽やかな印象になっているのは、紛れもなくこの人達の個性であろう。(夏の爽やかさを感じさせるNWバンドって、他にそう無かったと思うんだよね。)
AメロとBメロしかない単調な曲調、イマイチ地味なルックスとボーカル等など、未熟な点を挙げだすとキリがないバンドなのだが、それが総体としてリスナーには「青春の蒼さや至らなさ」として響くという不思議なマジックを持った人達だった。なんと今でも地味にインディーズで活動しているようなのだが、デキが怖い一方で(笑)、最近の音源も是非聴いてみたいです。どうにかなんないでしょうか、レーベルの皆さん。
悩み多き青春
★★★★☆
「もし僕がつまづいたら」
というフレーズが印象的な「ホエン・ザ・パイパー・コールズ」
が、このアルバムを象徴しているのでは
ないでしょうか。
80年代半ばに、ティアーズ・フォー・フィアーズ
を代表格にして、ポップな音作りの裏に、
若者の悩み苦しみを忍ばせている音楽が
ありました。
このチャイナ・クライシスも、そんな良心的な
バンドの一つです。
特にこのセカンドは内省的で、
「ヒア・カムズ・ザ・レインクラウド」
「ソウル・アウェイクニング」
などには、そのテイストが顕著です。
落ちこんで自分の行き先が見えなくなっている、
そんな若者が、それでも頭を上げてなんとか
生きていこう、と穏やかに決意している、
という感じです。
うんざり気分の時に聴きます。
音も曲も、暗くはなく、とっつきやすいです!!
これは、ネオアコやギタ-ポップではない
★★☆☆☆
一部の音楽評論家の仕業により、ネオアコ及びギタ-ポップであるかのように語られ勝ちですが、全く違う音です。陳腐なメロディ-と、すっとんきょうなヴォ-カル、これといった特徴の無いシンセ主体の音ではありますが、あまりに中途半端で、エレクトリック・ポップでもありません。情緒的な、デリカシ-も、耳障りなヴォ-カルの為に、殆ど感じられません。
木管やギターの音色が美しい清涼系のエレクトリック・ポップ。
★★★★★
チャイナ・クライシスの二枚目。良く聴くとドラム・マシーンの音色などが、いかにも80年代という感じなのですが、そのドラム・マシーンの音色すら有機的に聞こえてくる作りの丁寧さは各曲のクオリティの高さに更に魅力を加えています。とにかくメロディやアレンジが秀逸でそういう意味ではこの時代のポップよりのエレクトリック系のグループとしては最高位のものの一つ。流れるようなイントロが美しい代表曲、Wishful Thinking はもとよりギターの音色が素敵な、When The Piper Calls など純粋にポップスとして楽しめる素晴しい曲が揃っています。初夏頃に聴くのが特にお薦め。
83年、リバプール・・・
★★★★☆
第二次ブリッティシュ全盛時に、ヴァージンから期待の新人としてデビューしたリバプール出身のバンド(今作は正確には2作目)。LPのライナーには、やはり同じバージンからデビューのカルチャークラブより当時の期待度は大きかったという。しかし日本では残念ながら不発…
次作の『未完成』で作品的にもセールス的にも結実していくが、このアルバムのクォリティは非常に高く、3曲目のイントロを聴いて『これは…あれに使われていたのか』と誰もが思うはずである。6・8曲目の素晴らしいメロディなどは当時のミュージックシーンの中では、明らかに世に出す時期が間違っていたと思う。まぁしかし当時のリバープールは面白い!エコバニがいたり、アイシクル・ワークスがいたりで…