「愛」って何?
★★★★★
この作品、リアルタイムでは読んでない世代だし、ドラマ化されたのも小学生の頃の話。当時はヒロイン葵と恋人宗次郎にしか感情移入出来ず、葵を強姦して孕ませた拓也は、葵に死ぬ程嫌われているのに彼女を付けまわす、今で言う「粘着」だとしか思えなかった。
でも大人になった今なら分かる。生まれてきてはいけなかった、誰にも愛されていない、誰からも受け入れてもらえないと思い込んでいた拓也の気持ちが。
ただ無条件に愛されたかった。その想いを受け入れてもらえず、許されない罪を犯した拓也。でも、そんな自分でも無条件に愛してくれる母と、何も知らず自分に想いを寄せてくれる女性もいてくれる…苦しみ抜いた末に描いた葵をモデルにした「聖母子像」に、泣けました。これに宗次郎も加えて「聖家族像」にしたらもっと凄かったけど、まあいいです。漫画でも、大人になってから読み返してみると、昔とは違う視点で別の解釈も出来て、なかなか奥が深いと思います。