著者は、ジャズを評論することもあればほかにも沢山の評論を行う。森羅万象ありとあらゆる文化を吸収し、噛み砕き、突然神が舞い降りてきたかのように饒舌に語る。
落語とジャズは、即興性の面で共通な部分が多いと山下洋輔の著書で読んだ。この著者の文章は、即興性の面で恐ろしく饒舌であり、まるでジャズを奏でているかのような文章を書く。それが、あまりに心地よい。本を読んでいるというより、ちょっとだけのテーマをもとにありとあらゆる角度からそのテーマを掘り下げて考えつくすおしゃべりを聞いているような感覚にとらわれる。まずは、その心地よさを感じてほしい。
そして、落語家の落語を通じて書く思想を味わってほしい。
そういえば、批評とは、他人をだしにして、自分のことを描くことだといった批評家がいた。まさに、その言葉を踏襲している、