バンドの6作目のアルバムが最高傑作になることはめったにないが、本作はプライマル・スクリームの新たな夜明けを告げる革新的なアルバムに他ならない。そんなプライマル・スクリームだが、ほんの数年前までは消耗しきっているように見えた。ドラッグに溺れた間抜けな男は、ありきたりなロックンロールによる怠惰な安らぎで痛みを麻痺させていたのだ。
本作はスクリームにとって初めての闘争宣言である。公正な社会的良心を持つアルバムであり、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの『There's A Riot Goin' On. Musically』のファンクに焚きつけられた憤りによって、社会の無関心と不正に怒りの矛先を向けている。サウンド面でも、1991年以来避けてきたトータル性を打ち出して、制約を課している。緊張感あるインダストリアルなトランスの「Swastika Eyes」から、安っぽいヒップホップの「Pills」、歓喜のクラウト・ロックである「Shoot Speed Kill Light」まで、心を病んで絶望的になったかと思うと、次の瞬間には、輝かしく高潔な幸福感にひたっている。
本作にはたしかに、ケミカル・ブラザーズ、ニュー・オーダーのバーナード・サマー、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズといったゲストが貢献している。けれどもリスナーは、全速力で飛ばす改造車レースを思わせるディストーションを目一杯効かせた「Accelerator」で、ボビー・ギレスピーが「ここからどこへ?」と叫ぶのを聴いたとき、彼こそがすばらしいロックン・ロールの未来への道しるべであることに気づくはずだ。(Louis Pattison, Amazon.co.uk)
screamadelicaへのアンサーアルバム
★★★★★
前作ヴァニシングポイントで復活を遂げ、そしてこのアルバムではいよいよかの名盤screamadelicaを越えることがようやく出来ました。
どこまでがボビーのアイデアかわかりませんが、ひょっとしたら同じマンチェサウンドの盟友マイブラがアルバムをもし出しても、きっとこんな感じになるのかなぁ?と思ったりもします。
詞の世界観などから想像するに、screamadelica以降の彼らの動きとは、とにかく地に足をつけて現実をはっきりと見据えていこう。そしてそれを音に反映させていこう。こんな感じではないでしょうか?
個人的には、screamadelica収録のmovin' on upやgive out but don't give up収録のrocksと並びライブでは最高の盛り上がりを見せる#2やラストトラックであるshoot speed/kill lightが最高にかっこよく、この2曲は発表当時は耳タコばりに聞き込みました。
しかし、とかく政治的関心が希薄な日本においては良い悪いは別にして、彼らの放つ政治的メッセージの色は見事なまでに剥離され、純粋な音楽として機能しているのは複雑なところです。
ラストトラックのshoot speed/kill lightはそんな日本を見越してか?歓喜と絶望が見え隠れしている気がしてなりません。
最高です。
★★★★★
日本語の欲しかったので、古くて値段も高い方を買ったけど、
スワスティカ・アイズ4番と10番同時にパソコン転送出来ない。
今まで沢山転送してて初めてで、悩んだ末、またこれを買った。
恐るおそるやってみると・・ワァばっちりだ!
なぜ???結局2個買ってしまったが、
この曲は大好きなので、最新の方が音もいいし、
買って良かった(^^♪
多様でも流れ完璧
★★★★★
ACID HOUSEと位置付けられたりしながらも、あらゆる手法に貪欲に手を
伸ばし、自らの可能性を試す姿勢に物凄く好意を持つ(自分はです)バンド、Primal Screamの6th Albumです。
非常に多様な曲で構成されていますが、しっかりと空気が統一されていて、
他の作品よりわかりやすいコンセプト(他国の文化を節操なくパクり、
誤解して、気に入らなければゴミというレッテルを張り、
自分たちが世界の中心とでもいうように、富を貪るアメリカへの批判精神)
を設定したことで、パワーに満ち溢れた傑作になっています。
デジタリィなモノローグ、1.からいきなり鮮烈なディストーション・ギターが
荒れ狂う2.への流れはかなりハマりました。
この2.はmy bloody valentineのKevin Sealsがギターを弾いていて、彼はやはり、
ギターノイズを扱わせたら他に類を見ない天才だと思い知らされます。
その後はサイバーな4.、放送禁止用語のラップを連発する5.、
しっとりとしたメロディにオルゴールのような音色が優しい7.、
ドラッギーでデジタル・ノイズが印象的な四つ打ちビートの10.など、
完成度の高い曲が揃い、それぞれの収録時間の長さなど気にならないで聴ききれます。
PRMLSCRMMTHRFCKR?
★★★★☆
不思議なバンドprimalscream。節操がないというか、サントラ風味にしたり、ダブやったり、前作はアシッドハウス行ったりして、今作はロックンロールというのがまた不思議。でもカッコいいのがまた不思議。カッコよければスタイルなんてどうでも良いってこと。長年パンクスの気持ちでやっていたボビー・ギレスピー氏の成せる業。
次の作品は、もっとサイバーパンクというかニューウェーブという方向に進んだが、個人的にはこちらの暴力的な感じの方がよかったと。
一番好きな曲はshoot speed/kill light。ギターでロックなのにダンス的な風味と殺伐とした雰囲気もあって集大成的曲だと思う。前行ったライブで流れた時ったらもう・・・
狂った感情。むき出しの狂気。
★★★★★
このアルバムは今のところプライマルの最高傑作でしょう。なによりもケヴィン・シールズがギターを持ったということが重要であり、セールスを無視した完成度の高さとアルバムの持つ殺気に買った人はさらされるという危険なアルバムです。アルバムの山はいきなり二曲目のアクセラレーターでやって来ます。狂ったギターノイズが鼓膜をぶち破り、破壊的な歌詞は脳を麻痺状態に誘います。この時期のロックンロール・アルバムでは最高に位置するアルバムです。もし、プライマルを聞いたことがないならぜひ、聞くことをお勧めします。オアシスやブラーなどのイギリス勢を一気にぶった押し、はたまたメタリカやニッケルパックなどとは違う「ハード」さを感じれる一枚です。