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巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは (角川oneテーマ21)

価格: ¥720
カテゴリ: 新書
ブランド: 角川書店
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情と数字 ★☆☆☆☆
模範となり、チームの鑑となる人物の大切さ、
規則、データ収集と解析の必要性。

機能するチームへの適材適所についての話だが、
エピソード部分が多く、核心には到達できない。
憧れと嫉妬の交錯する歴史 ★★★★☆
野村克也というのは不思議だ。楽天監督時代、試合後の記者を前
にしての「ぐちり」が定番化し「人情監督」というキャラクターが板に
ついていたが、そんな彼がヤクルト黄金期に確立したのが精神論
や根性論とはまるでかけ離れた、データに裏打ちされた緻密な戦
略を練るID野球なのである。まさに冷静と情熱の間。そんな謎多く
魅力的なノムさんが書いた本書が、その名も「巨人軍論」だ。

タイトルどおり巨人軍論ではあるものの、「野村ID野球の根幹には
『巨人軍から学んだ思想』がある」というとおり、これは彼自身の野
球論でもある。選手・監督時代、どちらもジャイアンツとは無縁だっ
たはず。そんな彼がなぜ?という疑問も浮かぶところだが、 本書を
読めば分かる。野村勝也の野球人生とは、常に日本野球の中心に
あり、ほぼいつも優勝戦線をひた走っていた巨人軍へ向けられた、
憧れと嫉妬のない交ぜになった複雑な視線の歴史なのだ。

V9時代を頂点をする巨人の学ぶべきよい部分もあれば、そのよい
部分を継承できなかった悪い巨人もある、と著者は主張する。後者
はいわずもがな、本書出版年の前の年に4位に終わった、「史上最
強打線」の巨人などだろう。ちなみに大金を積んでの大型補強を著
者ははなから否定はしない。要はその補強のしかたなのだ。

「巨人・大鵬・卵焼き」と謳われたあの時代、なぜ巨人はあれほどま
で強かったのか。それには、当時の巨人にあった「進取の精神」に
よるところが多いと断言する。地理的にも技術的にも、日本野球と
まだかけ離れていたメジャーリーグ。「挑戦」すること自体がまだお
こがましいほどだった海の向こうの野球から、あらゆる技術と戦術
を吸収しようとした貪欲さが、当時の巨人にはありそして、そんな
彼らに憧れた他球団を、より高いレベルの野球へと引っ張っていっ
たのだ。もしかすると、日本プロ野球と戦後日本史は、見た目以上
に平行した同じ歴史を歩んできたのかもしれない。
近代戦は総力戦である。野球における名指揮官の戦略戦術論。 ★★★★☆
ノムさんの教えです。
ただ売って、投げれば良いわけではない。
4番は3割40本打てばそれで良いのか?彼は違うと言い切る。そこには理に適った
戦い方があり、哲学がある。
野球とは一見かけはなれた人間性との関連性を説きながら、巨人のV9の謎を明かす。
必然の理由の数々には、他の名著と全く同じメッセージが幾つも込められていました。
バンドとは何か ★★★★☆
 野球は奥が深いですね。考えてプレーをするかしないかは、仕事にも繋がり
ます。野球でバンドで二塁にランナーをおくるときに、バンドした球をどこに転
がすといいか、一塁側か、三塁側か考えてバンドする人と、ただバットにボー
ルを当てるだけじゃ違いますね。
 仕事もただコピーするのと、コピーしてどのように書類を綴じて何時まで書類
がいるかを考えて仕事するのでは大きく違ってきます。
 ただ、バンドすることでも頭を使い続けていると、何年かすると結果は大きく
変わってくると思います。 
 南海、ヤクルト、阪神、楽天、野村さんて本当にすごい方です。
失墜の秘密 ★★★★★
2008年シーズン開幕後。

巨人の連敗を眺めていると、組織のあり方を考えさせられる。ラミレス、グライシンガーをヤクルトから獲得し、横浜からはクルーンを獲得した今シーズン。セリーグのライバルチームから4番と先発投手、抑え投手をそれぞれ獲得した巨人は、専門家の間でも、ぶっちぎりの優勝を果たすだろうといわれていた。

昨年、リーグ制覇したのにも拘らず、巨人は”お得意の”強引な補強を敢行したのである。傍目から何を焦っているのだろう?と疑問に思うほど、彼らは”何かに”急いていた。

昨年、中日にクライマックスシリーズで簡単に敗れた。リーグを制覇したのにも拘らず、短期決戦であっさりと。その姿に彼らの組織としての本質が、晒されていたように私は思う。

本著で野村氏は言う。どんなチームでも、偶然に一回は優勝することはある。しかし、二連覇、三連覇をしようと思えば、偶然では続かない。適材適所。選手が各々果たすべき役割を自覚し、四番やエースといったチームの要が、率先して他の選手へ良い影響を及ぼすような姿を見せる。様々な条件が揃ったときに初めて、チームは組織として機能し始めるという。

その鏡が、V9時代の巨人であった。

巨人が失墜したのは最近の頃と思われている風潮がある。しかし、89年・90年(共に藤田元司監督)以降、巨人はリーグ二連覇を達成していない。つまり、野村氏の言う”組織としての機能”を果たしていないことになる。それは今から19年ほど遡らなければならない出来事なのだ。決して、最近になって崩れたわけではない。

崩壊のキッカケは様々だ。FA導入や逆指名制度導入により、チームバランスが大きく崩れた。選手や監督はフロントを見ながら、フロントは読売の会長を見ながら、各々野球に携っている。結果的にグランドの上には薄いプレーしか残らなくなった。それに加えて、野茂やイチローが切り開いたアメリカ・メジャーリーグの風が、不動の四番であった松井秀喜の離脱を生じさせ、巨人は息の根を止められたと言える。

更に痛いのは、最後の二連覇であった89年・90年シーズンに台頭してきた遊撃手・川相昌弘を中日に手放してしまったことである。堅実な守備や犠牲バントの妙技は、巨人に受け継がれることなく、選手として、コーチとして、中日へと注がれてしまった。結果、巨人は”適材適所”という言葉を失ってしまう。

川相選手の2004年中日ドラゴンズ(監督・落合博光)への移籍以降、中日はリーグ優勝2回、2位2回を成し遂げている。昨年は、クライマックスシリーズで巨人を、日本シリーズで日本ハムを破って、悲願の日本一を達成した。川相昌弘氏のチームへの効果は、計り知れないものがある。いまや常勝という言葉を掲げられるのは、巨人ではなく、中日の方かもしれない。

本著は、その失墜の秘密を、素晴らしく明解に綴ってくれている。