インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

歴史の終わり〈上〉歴史の「終点」に立つ最後の人間

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 三笠書房
Amazon.co.jpで確認
世界の見方 ★★★★★
 歴史哲学というと、象牙の塔にこもっている学者たちの浮世離れした営みというイメージがつきまとうが、この本はそういったイメージとは無縁である。この本では、プラトンから始まりニーチェやヘーゲルなどから抽出された思想や理論が、実際に起こった、あるいは起こりうるであろう広範な事例に当てはめられていく。その歴史分析はダイナミックかつスリリングであり、単に知的満足感を得るに留まらず、今後の思想の動向や世界情勢の予測にも役立てることができると思う。社会を表層的ではなくもう一段深い次元で捉えたい、世界を見る目を洗練したいと考えている方は手に取ってみる価値があるだろう。

 彼の事例の解釈そのものには少しばかり強引さが見られ、異論もあるだろうが、一つ留意しておくべきことは、フクヤマ氏は歴史の終わり・リベラルな民主主義の普遍化といった事態を前にした人間に対して決して楽観的ではないということである。そのような人間は、気概を発揮する場をもたず、現状に何ら不満を感ぜず、ただ生を消費するだけの存在となってしまうためだ。そういった事態を解決するヒントが「エコノミックアニマル」に求められているという点は我々日本人にとっては興味深い。

 日本の西洋化ならぬ西洋の日本化については、コジェーブの発言を通して本書でも触れられている。ギリシャ以来、東から西へと進行していく歴史軸は西ヨーロッパ、アメリカ、日本へと行き終焉するのか?それとも中国やロシア、インドなどの歴史世界が脱歴史世界をひきこみ、歴史は続くのだろうか?
「歴史の終わり」に終わりは来るのか? ★★★★★
英語タイトル "The End of History and last man"は既に購入済み読了していたのでその日本語訳がどういったものか興味があり購入しました。
仕事柄こういった学術的文章を高校生に読ませることも大事だと感じているので、その和訳という意味合いもあり購入しました。
総じてわかりやすくある程度の原文の意味ニュアンスを堅実に維持したまま翻訳されていると感じました。
文明論、政治論、国際関係論、哲学、人類学、と幅広くその影響を及ぼしている本書はまさに必読の書だと心得ています。
一回だけでなく何度も読むことでいくつにも違った意味をくみ取れるまさに「するめ本」でしょう。
発刊後10年以上たっても大学でいまだに教科書としての意味合いを持つ本書は、まさにその内容の斬新さと重要さを物語っており、ぜひ一冊持っていて損はないと思います。
また民主主義の根底にある人間の "Desire for the equal recognition" という論点は政治的な視点のみでなく、人間の本質をついた哲学的な思索を引き起こします。
そここそが、まさにこの「歴史の終わり」という議論に終わりの来ない理由だと思います。
最高の傑作 のめり込みました。 ★★★★★
何ヶ月この本にとりつかれたでしょうか?
冷戦の終わった世界の答えがこの本にあると思いこみ
毎日朝晩の電車はこの本をアタッシェケースの上で読みました。
英語の流れるような文章は綺麗です。
ヘーゲルを中心に
彼の参考にした哲学書も買い込みました。
結局ぼろぼろになった彼の英語の本も3冊買い今も時々読み返しています。
日系人の優秀さに脱帽です。
その昔アメリカの大学にいた頃
こんな感じでさらりと何でもできる日系人が結構多かったのも事実です。
哲学書だと思って読み返しています。
民主主義外交の「思想背景」 ★★★★☆

ヘーゲル・カントらを引用しており「哲学」に分野わけされる本書だが、むしろ現代の国際政治・外交問題などに欠かせない一冊だろう。特にアメリカのイラク政策や、日本外務省の「自由と繁栄の弧」といったトピックにも通じるものがある。



フクヤマは自由・民主主義liberal democracyの体制があらゆるイデオロギーに勝利した、人類が行き着く最終であるとしている。民主主義国家はファシズムに「軟弱な国家」、共産主義に「ブルジョワジー支配」と呼ばれ非難されていたが、いずれの体制も実質崩壊した。正に自由・民主主義の勝利、というわけである。



また富める民主主義国どうしは平和を享受し、戦争の可能性は低い。よってフクヤマは、アメリカは民主主義を推進させ、「歴史の終わり」を地球上で完結すべきだと説く。全ての国が自由・民主主義国であれば、(理論上)国家間の戦争はなくなるわけだ。
よって本書は以下の内容をを示唆している。民主主義の「価値」や、それを「推進」しようとつとめる国・政治家の知的根拠である。テレビや新聞で政治家が「人権」「民主主義」に訴えているとき、本書で述べられている思想がたぶん背後にあるのだろう。



が、こういった説を唱える人は、古くは「夢想主義者idealist」、現代では「ネオコンneo-consevertive」と呼ばれ、批判の対象となることもしばしばである。
という訳で、本書は反論書などと共に一読されることをオススメする。ただ、冷戦後の国際関係・政治の本ならば大体は触れているが。ともかく冷戦後には避けて通れないトピックなのだ。













「歴史」ではなくて、人類の進歩と資本主義の勝利の話 ★★★★☆
この本を、歴史哲学の本だと期待して読むと失敗します。
ヘーゲル=コジェーブの進歩史観の話がちょこっと出てくるだけです。
この本の本質は、ソ連崩壊により、自由主義・民主主義が最終的な勝利を収め、人類の進歩も終結した(ユートピアになった)ということです。


ただ、私自身はこの本の意見には賛成しません。

まず、資本主義の勝利は、あくまでもそれが均衡して安定した状態であることは示しますが、最良であることは示していません。
アドルノの言うように「啓蒙により文明化し、啓蒙により野蛮化する」可能性も十分あります。

次に、勝ったものが正しいという考え方自体が、極めて自由主義。民主主義的なものです。そういう意味では、自由主義・民主主義を判断根拠として、自由主義・民主主義を最良としているのですから、循環論法でもあります。

しかし、乗り越えられる古典としても、読む価値は十分にあるでしょう。