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裁判官の人情お言葉集 (幻冬舎新書)

価格: ¥777
カテゴリ: 新書
ブランド: 幻冬舎
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人情お言葉ではないけれど ★★★☆☆
裁判をおもしろがってはいけないが、関心を持つことは悪いことではない。
裁判とは、人の欲や感情がほとばしり出たものだと思う。それも法律の抑制を超えて出てきたものだと思う。

もちろん罪を犯した法が一般に悪いのだけれど、それ以外にも何かあるのではないかと思って、この本を読んでみたわけだ。
この本は見開き構成になっていて、偶数ページの左端に決めの台詞が2、3行にまとめられている。
これが人情お言葉なのだそうだけれど、裁判の中身を知らないので、ピンとこない。
残念な構成である。奇数ページにその『お言葉』の解説が並んでいるのだけれど、裁判の中身がわからずでは、著者の上滑りな文章のような感じられてしまう。
惜しい、実に惜しい。一貫した記述方針のもとに再構築してほしい本だ。だって素材はとてもよいものなのだから。
法律の素人である私たちに何ができるのか、考えさせられます ★★★★★
ベストセラーとなった「裁判官の爆笑お言葉集」の第2弾。
しかし本書は前作とうって変わって笑えるお言葉は少なくなり、裁判官の情や葛藤を感じさせる「重い」お言葉が中心となっています。

特に印象的なお言葉は、法と世論のジレンマに悩み、厳罰を科すにもできない事例のもの。
その中には当時メディアでさかんに報道され、大きな反響を呼んだものもあります。
著者はお言葉と判決の裏に隠された裁判官の苦悩、法に潜む問題点をわかりやすく解説しています。

まるで、思いが込められた様々なお言葉を通じて
「裁判員制度が始まるにあたって、法律の素人である私たちに何ができるのか考えてみませんか」
と著者が問いかけているようにも思えます。

ちなみにコラムには用語解説や裁判の進め方、裁判員の心得などもあり親切です。
「人情編」は判断に苦しみます! ★★★☆☆
人情編で、これだけの内容を纏めようとすると、著者も大変ですね。
裁判官も人の子です。事件を担当して、判決を言い渡したあと、裁いた
人に言葉を付け加えるのは、よほどの事情があるのでしょう。
本書を読んでみて、不足していると考えられるのは、やはり、裁判の内容(記録)
の乏しさです。あまり詳細に記述すると、個人情報保護(プライバシー)を侵害
することもあるのでしょうが、『裁判の内容がわからないと、なぜ、この裁判を
担当した裁判官が、このようなお言葉を発したのか不明』ということもあります。

読者の立場からすれば、色々と注文したいこともあるでしょうが、よく、ここまで
纏められたと、敬意を表します。
次回の【犯罪編】を期待します。
"裁判官の爆笑お言葉集"の続編です ★★★★☆
基本的に"裁判官の爆笑お言葉集"の続編です。お言葉、コメント、時々コラムが入っているという構成です。こっちの本での独自の試みとしては、日本以外の裁判官のお言葉も少し入っているというところでしょう。どれも読みきりの構成ですから、"裁判官の爆笑お言葉集"でもこちらでも、お好きな方から読むのでよいと思います。

あくまでも主観的な意見ですが、お言葉のバリエーションは"裁判官の爆笑お言葉集"の方が少し豊富かもしれません。一方、著者のコメントはこちらの方がより詳しいように思います。いずれにせよ、難解な本ではなく、どちらも簡単に読み終わります。

司法を少し身近に感じる、犯罪を通して世の中の一面を知るという2つの点で、興味深い企画だと思います。
裁判員制度が始まってからもこのシリーズは続けて欲しい。 ★★★★☆
「爆笑お言葉集」に続く第2弾。柳の下の・・・と思いながらも結局購入。内容も構成も前作とほぼ同じだが、傍聴仲間の原稿や外国の裁判官のお言葉も紹介されている。前作がヒットして忙しくなったのだろうか。

印象に残ったのは、法律的に導き出される量刑が心情的に科すべきと考える量刑よりも軽いケースにおいて裁判官が被告に対してかける“お言葉”と、それに対する著者の解説だった。

そして、中でも印象に残ったのは、福岡で起きたひき逃げ事件の判決に対するものだ。

幼児3人が死亡したこの事件で裁判所は、検察が求めた危険運転致死罪の適用による懲役25年の求刑を退け、業務上過失致死傷による懲役7年6ケ月の判決を言い渡したのだが、個人的な感情としてはこれだけのことをやらかして懲役7年しかならんのかという単純な憤りは感じたものの、それと同じくらい、判事の法解釈について疑問を呈することはなく、被害者感情に配慮がないといった感情論にのみ終始する多くのマスメディアに違和感を持った。

著者はこの判決に対して、裁判官の職務は法律を厳格に解釈し刑罰を科すときには慎重に“控えめ”に(これを「謙抑性」というらしい)することではあるがこの事件で裁判所はその謙抑性を効かせ過ぎたとしてその理由を述べている。この解釈が専門家達から見るとどうなのかはわからないが、少なくとも法の素人であるわたしには納得できた。

この本で紹介されている数々の“お言葉”は裁判官としての立場と一私人としての立場に齟齬が生じたときに、裁判官が思わず発した言葉ではなく考えに考え抜いた言葉であるに違いない。

裁判員制度の開始を間近に控え、ここ数年裁判傍聴記的な本、もと裁判官が裁判所の内情を暴露したような本も多く出版されている。この本は前者に近い内容だ。著者は司法試験を目指し最後は挫折しライターとして再出発した人物である。素人と専門家の中間に位置している。もしかしたら、裁判員制度が始まる前に一番参考になるのはこういう人が書いた本なのかもしれない。