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ドキュメント 裁判官―人が人をどう裁くのか (中公新書)

価格: ¥798
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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粘り強く取材した良書 ★★★★☆
本書は、私たちが日頃接することの少ないであろう裁判官について粘り強く取材した良書です。

法曹の中でも特に口が重そうな裁判官について、よく1冊の本が仕上がったなと感心します。2008年の段階で5刷が出てますから、きっと裁判に興味のある方に読み継がれているのでしょう。ぜひ読んでみて下さい。

世間知らずとか、気の利かないエリートとか、(反論してこないだけに)言われたい放題の裁判官。たまにはわいせつ行為に走る人もいるでしょうが、どの世界にも例外はいるもの。ワイドショー的に面白がる一方で、多くの真剣な裁判官の仕事にも日を当てないと、不公平ってもんです。

特に、「ハンセン病国家賠償請求訴訟」おける判決文「人生被害」のくだりには、思わず目頭が熱くなりました。まさか裁判官の本に感情を揺さぶられるとは。
いいんじゃないでしょうか ★★★★☆
裁判官の気持ちが少しわかります。
ただ,本の前半はいいのですが,後半は裁判官の気持ちが主体の話ではなくなってきており,残念。


1つ,感慨深いお話を紹介します。
東名高速二児焼死事件。
1999年11月酒酔い運転の大型トラックが渋滞の列に突っ込み,追突された乗用車が炎上,幼い姉妹二人が焼死し五人が重軽傷を負った事故。
一審では,求刑五年に対して,懲役四年の判決が下された。同判決は世論の批判にさらされる。
控訴審を担当した仁田裁判長も,被害者の思いや世論は十分に理解しつつも,処罰の公平性を損なうことはできず,一審を相当とし,控訴棄却。
ただ,「飲酒運転などによる死傷事故に関する罪の新設や,法定刑の引き上げなどの立法的な手当をすることが本来のあり方だ」と,刑事判決では異例の言及をした。

被害児童の両親は,今も悪質交通事故をなくすキャンペーンや講演活動を続けている。
2001年11月には,その運動が実を結んだのか,「危険運転致死傷罪」が新設され,飲酒運転による死亡事故などの刑罰が大幅に引き上げられた。
その日は,奇しくも被害児童の命日に当たっていた。
人生いろいろ、裁判官もいろいろ ★★★★★
裁判官には苦々しい思いをした経験から本書を購入してみた。さすがに刑事裁判の経験は無いがこの章に記載してあった「八がけ」判決という事項だ。この本でああ、あの判決はこれかと教えてくれた。この言葉だけで買った価値が自分には十分あった。民事ではあったがいきなり訴えられて被告にされてしまった。判決が出るまで肝心の本人は一度も出席せず代理の新人女弁護士が訴状を述べ、こちらはやましいところはなく全出席。次回判決を出すという日に裁判官から非を認めればこの程度の慰謝料にしてやるといわれた。自分はとても承服できないので半訴状を書いたがこちらの依頼した弁護士に無視された。それはその弁護士がその裁判所の元検事。つまり同じ穴の狢。門前薬局ならぬ門前弁護士事務所だ。後で後悔した。判決の日、裁判官の下話を拒否したらこの書の通り更に高額になってしまった。このとき、ローカルな裁判所の民事なんて正しい、非があるなど大した問題ではなく金を取りやすいほうから取る、新人弁護士の練習台にされてしまうこともあるんだとわかった。いかさま、やらせなど公的世界の暗部であり恥部だ。明日はわが身。誰でも起こりうる事。その原告である元妻は裁判が終わるやさっさと結婚してしまった。
世間で話題になったり、マスコミが取り上げる裁判ともなれば本書に書かれているように優秀な裁判官が悩み悩んだ末、判決を出すということは多いと思うが、地方の名も無い裁判などどんな判決が出るか予想もできない。最高裁ですら国民が納得がいかない判決などもしばしば出ている。それは裁判所という聖域と国民・市民感情、一般常識とのズレがそうさせるのかも知れない。新聞社社会部から見た裁判官という内容だが裁判官以外からの意見ももう少し突っ込んで書いて欲しかった。
「新聞記者から見た」裁判 ★★★★☆
多くのブックレビューや書評を見ると、裁判官とは何かを知るのに適した本と言う評価が多いが、それはおそらく正しくない。
 この本は「新聞記者が裁判をどう見ているか」が知れる本である。それが顕著にわかるのは第一章の刑事裁判。まず取り上げられている事例に明らかな最終的に無罪で確定した冤罪事件がない。いくつかの事例で裁判官と対立する弁護士の発言を批判的にとりあげているが、検察をとりあげず、検察批判がない。
 新聞記者が、物事に対していかほどに頑なに予断を持ち、偏った物の見方をしているかということが、見事に浮き出されているという点で大変興味深い本である。裁判の分析として見た場合は、裁判官の相変わらずの官僚的発言などによって生ぬるい部分もあり、読者が多くを求め過ぎた場合には不満に感じられる場合もあるだろう。
裁判官が判決に到るまでの「胸の内」を記した一冊 ★★★★★
「はじめに」の中で、「重い口は、ほんの少しだが開いた」と記されていたことから、裁判官から直接聞けたことは多くはなかったのかナ、と思いながら読み始めました。
が、蓋を開けてみると、

第一章刑事裁判:東名高速二児焼死事件、オウム真理教事件、甲府信金OL誘拐殺人事件、大阪・従業員寮放火殺人事件、ロス疑惑裁判、撚糸工連汚職、東電OL強殺事件、新潟少女監禁事件、新宿バス放火事件、大阪・附属池田小児童殺傷事件、目白通り連続婦女暴行事件、山形マット死事件

第二章民事裁判:ハンセン病国家賠償請求訴訟、尼崎公害訴訟、戦後補償裁判、花岡事件訴訟、そごうの再建に関わる民事再生法、青色LEDの特許権をめぐる訴訟、大和銀行NY支店の巨額損失事件をめぐる株主代表訴訟、大原麗子さんの名誉毀損訴訟、尾崎豊さんの妻が起こした名誉毀損訴訟

第三章最高裁:大阪空港公害訴訟、愛媛玉串料訴訟、大阪府知事の交際費をめぐる情報公開請求訴訟
第四章素顔の裁判官:神戸の小学生連続殺傷事件
等々の、多くの国民が関心を寄せた事柄が数多く採り上げられています。そしてそこに関わった裁判官の方々が、どのように考え、判決や和解の提案に到ったかが記されています。

今まで私は、裁判所が事務的・機械的に判決を下している、という漠然たるイメージしか持ってませんでした。しかしこれからは、ニュースで判決を聞くたびに、その判決に到った裁判官達の思いについて考えるようになるでしょう。