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ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から

価格: ¥4,200
カテゴリ: 単行本
ブランド: 晃洋書房
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学校での道徳教育についての部分は非現実的だなぁ ★★★★☆
 「ケアリング」という思想が1980年代頃より出現してきているらしい。
  家族という場を「親密な人々での間でケアが為される場所」と考ようではないか
  という思想/運動であるとともに対人/対象関係全体を「ケアする/ケアされる」
  という視点で捉えなおすことで倫理や道徳や教育を作り変えようという思想運動
  でもある。
  もしも他者が貴方に対して「ねぇねぇ。あのさぁ、今日ね、これこれこういう面
  白いことがあったんだよ。ボクねぇ、こんなことにビックリしたんだょお…」
  と、自分の感動や驚きを共有したがるような発言を投げかけてきたとしたら、
  貴方とその人とはケアリングという関係性を築くことに成功しているのだという
  ことが言える。
  ケアリングという関係性の中で初めて、「私」は「他者」を「人格を有している
  何か」として認識することが出来るのであって、一神教的な掟に基づく道徳観で
  は他者を人格として認識することは出来ない,と著者は主張する。
  そこで著者の提唱する「ケアリング倫理」を従来型のものと比較してまとめると
  以下のようになる。
         ケアリング倫理 │ 従来の道徳倫理
===============================
       善きサマリア人の説話 │ アブラハムの神がイサクに死を与えること
   エピソード的具体化を重視する │ レポート的抽象化を重視する
      個別的一回性を重視する │ 普遍的原理を追求する
      養育/信頼/安心/相互性 │ 訓練/秩序/服従/契約
閉じた情緒的関係性がそこで完結す │ 成功に対する報酬/失敗に対する罰則
ることを求める │ 
  仲間として相手に影響を与える │ 指導者として他者をリードし導くか、
                 │ 指導者の指示を忠実に実行する者となる
              女性的 │ 男性的
          ポストモダン的 │ 近代的
     他者を人格として受容する │ 他者を役割を持った機能体として評価する
          多神教的自然観 │ 一神教的自然観
       スピリチュアル的態度 │ 科学的態度
  到達可能な具体的目標を設定する │ 深遠な理想を追求する
日常的労働の中に喜びを見出すこと │ 新しい発見や作品を他者に提示し他者から
を生きがいとする(相手から何らかの│ の肯定的な評価を得るのを生きがいとする
陽性感情の表出あるいは感動の表出 │
が見られればケアする側は救われる)│
  悪く言えば、平凡で退屈な態度 │ 悪く言えば、思いやりに欠けた攻撃的態度
課題解決よりも良好な関係性の構築 │ 対人関係よりも課題解決を優先する態度
を優先する態度 │
システムの中の其々の構成要素がお │ そのシステムが全体としてどのような方向
互いにどのように呼応しあっている │ 性を持ちどのような機能を果たしているの
かをしっかりと観察し見届ける思考 │ かについて、全体を俯瞰する立場で洞察す
スタイル             │ るような思考スタイル
教育の目標は「他者とケアリングの │ 教育の目標は、原理原則に忠実に従える子
関係を積極的築いて行こう」という │ 供に仕立て上げること
ライフスタイルを子供達が持てるよ │
うに支援すること         │
【 感想 】
さて、現代の教育と教育者のありかたについて決定的な影響を及ぼした本がある。それは、マックス・ウエーバーが書いた「職業としての学問」という小冊子である。
それに拠れば、教師は「この学問/研究は、こんなに面白いんだ。その面白さと魅力に教師である私は夢中になってしまっているんだ。この私の感動と、この学問に対する魅力を是非君達に伝えたい。僕が感じている感動を君達と僕は分かち合いたいと思っているんだ」と、いうような指導をしてはならない、と記している。教師は淡々と学問を生徒に伝えればそれでよい。それが教師という職業の人が採るべき倫理だ、というのである。ケアリング倫理を重視する立場に立つとこのようなマックス・ウエーバーの主張は全面的に退けられなければならないことになる。教師は自分が心酔する学問の魅力について生徒とシェアすることを目標に自らの影響力を最大限に駆使して生徒と向き合うべきとされる。
ただ惜しむらくは本書の最終章の道徳教育の部分はどうしてもついてゆけないものを感じた。
ケア・ケアリングに関する基本的書物 ★★★☆☆
ケア・ケアリングは,今や多くの分野で研究がなされている.本書は,ケアを価値付け,倫理的思想にまで高めたといわれており,教育・看護・フェミニストなどに大きな影響力を及ぼした.著者の提示したケアの倫理的思想についてはこの後盛んな論議をよんだ.ケア研究者にとって基本的書物であるばかりでなく,医療・看護を行うものにとってケアとは何かを考える手引書となるであろう.ケアする人,される人とは何か,ケアリングが成立するための条件,ケアリングには相互性が必要であること等内容は基本的に重要である.惜しむらくは,原典そのものが難解であるためか,訳文では内容が明確に理解できない個所もある.可能な限り原書で確認が必要であろう.