社会との相互関係の中で自己を育てていく視点は、独我論を回避するために極めて重要である。また、関係や文脈の特別さを捨象して公平に扱うことは、親密さや配慮を疎外した冷淡さに通じる。普遍性を求めて一括してしまうことで、個別性や多様性を疎外することになる。違うものを違うように扱うことと、同じように扱うことと、どちらがより適切なのであろうか。この問いは、個性や差別、ジェンダーや他民族といった問題を考えるとき、未だに色褪せない。
私の基本を作った本の一つ。