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うなぎ鬼 (角川ホラー文庫)

価格: ¥660
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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闇に生きる人間達 ★★★★☆
 借金で身を崩しそうになった巨漢で強面だが気が弱い主人公・勝・債権の取り立てとデリヘルの運転手をしている彼が遭遇する恐ろしい話を描いた作品。 勝が所属する(ブラック)企業・千脇エンタープライズは作者の前作『裂けた瞳』でもチラッと登場するらしい。ハローワークに決して乗らないような危ない企業、仕事さえすれば多くの金をくれるが常人なら3日で胃が壊れそうな恫喝社長、危険なニオイが蔓延している。 その一方、前述した通りの性格である主人公の何とも間の抜けたような、『こりゃどこの会社でも通用しないし、借金もするわな』と思わせるような失笑的な場面が散りばめられ序盤を読む限りホラー小説とは思えない。
 しかし、この作品がその本性を現すのは東京近郊にある「黒牟」という町が登場してから。描写を読むかぎり、寂れた下町というイメージだが何か得体の知れない、黒い靄に包まれたようなこの町。うなぎの養殖以外に非合法的な何かが行われているのではないかという恐怖感を見事に与えている。また、そこで生活している人間もどこか時代錯誤、、というよりは真っ当な社会に身を置けないような存在であることから、より気味の悪さに拍車をかけている。後書きでも『三丁目の夕日のダークサイド版』と表現されていたがいい得て妙だなと感じた。絶対に夜は近寄りたくない町。
 あそこでは非合法な死体処理が行われているんじゃないか、あの店では人肉が振舞われているんじゃないか、そんな昔からあるような都市伝説がすぐそこで息づいているような感覚に襲われる。

 勝と、デリヘルに新規参加した女子高生ミキとの交流も描かれる。これがどう展開していくのかと気になって読み進めていくと、まぁ〜この女子高生の恐ろしいこと恐ろしいこと。男を利用するだけ利用しようという魔性の女極まれりと言った具合だが、本当に恐ろしいのはミキを衝動で殺してしまい、都市伝説と思っていた死体処理を利用する羽目になるということ。そしてさらにその上を行く恐怖は、死んで死体処理をされたはずのミキからのメールがいまだに届くということ。そこまでいくともうストーリーはクライマックスで、意外な人間関係による復讐が待ち受けている。そういった事も含めて「黒牟」という深淵が垣間見えた。
 
 これは読み手の受け取り方にもよるかもしれないが、読了後、高級食材である「うなぎ」に対して一種の恐怖感・嫌悪感を抱くような仕組みがされている。人によって嫌いな食べ物はそれぞれ存在するだろうが、うなぎが嫌いな人はもっと嫌いになってしまうだろう。良くも悪くもうなぎの芳ばしい香りがすぐそこまで漂ってくるような、そんな特殊な一冊だった。
ホラーでなく、ヌルい火曜サスペンス劇場なだけ ★☆☆☆☆
書評がまあまあだったので読むが、
ホラーでなく、ヌルい火曜サスペンス劇場なだけ、、、
現代なのに語尾や描写が全体的に微妙に古くさかったり
今どきSEX描写に3、4ページも割いてるセンスといい、
落としどころも安易な方に落ちてるし、
読む側に説得納得させるテクニックを
持ち合わせていないのだなあと思った。
尻すぼみ感あり ★★★☆☆
最初から中盤にかけての禍々しさは一級品だと思います。
この先展開するであろう最低の場面を見たいような見たくないような…
でもページを読み進めてしまう、が。

後半、
(あれ?作者さんもしかしていい話にしようとしてる?)
と思ったあたりからの失速振りもまた一級品だと思いました。

もったいない。
都市伝説型人情話 ★★★☆☆
 体も顔もいかついが、根は純情な「勝」。半やくざのような得体の知れない社長の下で、使い走りをやらされる。ウナギ養殖、焼却炉、闇の仕事と、都市伝説めいた世界を描いた。ただ、あまり現実離れしていかない。デタラメっぽくならない分、こぢんまりした感もある。表紙や題のおどろおどろしさとは逆に、物語の大筋は、人情物のほんのりした温かさを感じさせる。
久しぶりに夜道が ★★★★☆
怖くなりました。
だってあの角を曲がると闇よりも黒い街、黒牟へと続いてるかもしれないんだから・・
そこから覗く絶望を知りすぎた目、目、目

超怖い本シリーズ好きな方、特にオススメです。