Let'S Get Lost
価格: ¥2,175
歌を歌うトランペッターは数多くいるが、その中でもチェット・ベーカーは別格の存在だ。明るく女性的な歌声は、ルイ・アームストロングとは正反対で、それが彼の魅力であった。このアルバムに収録されている20曲は1953年から56年にかけてのものだが、彼のベスト盤といえる。 一つには、そのトランペットがすばらしく、多重録音しているものある。もう一つは、選曲だ。多くのジャズシンガーとは違い、ベーカーはオリジナルの通りに歌い、即興を楽しむのはトランペットにしていた。ラス・フリーマンのハイレベルなピアノのおかげで、どの作品にもリズムが生きている。どの曲も、ベーカーがジェリー・マリガン・カルテットとともにジャズ界に大きな影響を与えていたころのもので、そのボーカルは何年にも渡って熱狂的な支持を受けている。様々なリイシュー盤が出ており、編集方法によっては、ビル・パーキンス、ジミー・ジュフリー、ジョー・パスらの演奏がボーカルよりも目だっている曲も多かった。だがこのアルバムは、オリジナルの演奏が生きており、聴くに十分値する。Steve Voce