ブッシュ政権を皮肉った1曲目「Neocon」以下、まだメロコアなんて言われていた頃の、つまり本来の彼ららしいファスト&アグレッシヴなパンク・ナンバーが多めにそろっている。しかしだからと言って、パンク路線の復活と早合点はできない。なぜなら、その一方ではニュー・ウェイヴ調のディスコ・ナンバー「Hit That」やヒップホップ・レゲエの「The Worst Hangover Ever」のように、ポップ・ナンバーにもアプローチすることで、「プリティ・フライ」でつかんだファンにもちゃんと配慮しているからだ。ここでは従来のパンク・ファンと「プリティ・フライ」以降のファン両方を満足させられる、ベテランらしいバランス感覚を楽しむべきだろう。(山口智男)