インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

革命的群衆 (岩波文庫)

価格: ¥483
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
Amazon.co.jpで確認
革命を動かす群衆は如何にして作られるか ★★★★★
 本書は、烏合の衆が革命的群集に変化する原因を、「集合心性」という概念を持ち出すことで解釈しようと試みるものである。
 集合心性とは、人の集まりとしての群衆に存在する共通した精神であり、それは、お互いに深い関係を持たない者同士に置いても成立しうる精神状態である。この集合心性は、意識的に作られるものでは無く、むしろ、個々人のこれまでの考え方や、経験を反映したものであり、長い時間をかけて醸成されたものであるという。具体的に、ルフェーブルは、村祭りや、町における集会など、具体的な意見を持たずに集団を形成している場において、この集団心性が群衆を突き動かしたことが、一因となり、農民蜂起や革命が発生したとしている。
 解説で訳者がまとめているように、群衆という概念を提唱したのは、ル・ボンであり、彼の「群集心理」(講談社学術文庫)は群衆を人間という動物の集まりと捉え、人間が集団を作ると、ある一人が行った行動や思想が、他人にも急速に伝播していく心的感染という現象を中心に論じた著作である。この点に付き、ルフェーブルは、心的感染にこだわるル・ボンの主張は集合心性を見落とし、表層的な現象の観察に終始し、そこに自らの心理学的見解を入れ込んだものでしかないと退けている。また、ル・ボンの対極に位置する。伝統的な革命史家の見解、群衆は個人の自主的な連合体であるという見解も、群衆状態における特有の性格を無に帰する見解とする。双方の見解の中間にあるという意味においては、本書で述べられているルフェーベルの群集解釈はバランスがとれているとも言えるだろう。
 個人的には、ルフェーブルの見解が、集団の構成要素としての個人という捉え方を行っているので、ホロン的な捉え方だと感じられた。また、訳者によると、ルフェーベルと関係の深かったアンリ・ベールは、アナール学派(歴史をこれまでの実証主義的な記述では無く、多角的な視点から捉え、社会学、経済学、統計学なども利用しながらより、具体的に再解釈しようとする歴史学の一派)の創生にも関わりがあったらしく、その意味でも、ルフェーブルの視点に興味を持つことができた。
 群衆についての理解を深めるという意味では、本書は適していると思う。併せて、先述したル・ボンの「群集心理」やW・リップマンの「世論」、オルテガの「大衆の反逆」なども参考になるだろう。
 
今日のわが国において「革命的群衆」は生まれ得るのだろうか ★★★★☆
今日、歴史学のキー概念のひとつである「集合心性」について、1789年のフランス大革命に遡り、その発生過程や特質を審らかにした古典的名著。一言でいえば、それは、単なる「集合体」が「半意識的集合体」を経て「革命的結集体」に到る一連の社会過程における一種の「接着剤」ないしは「触媒」に他ならない。「「世論」についての研究は、経済的・社会的・政治的諸条件の叙述とならんで、それら諸条件の反映である集合的心性の復元と、その集合心性が形成されてくる過程の可能な限り正確な指示を、必ず含むべきであろう」(40頁)。そして、ひとたび革命的結集体が形成されるや、それは逆に革命的集合心性を更に強化する反対物へと転化する。「その相互作用が、人々の神経を過度に昂ぶらせ、不安をその絶頂にまで高める。こうして彼らは、不安から逃れるために、行動へと急ぐのだ。つまりは、前へ逃げるのである」(62頁)。底本は、故二宮宏之氏の手になる創文社版(1986年第二刷)。読みやすい良訳です。
なぜ起きたのか? ★★★★☆
大恐怖という事件を、
フランスの社会構造から来る、群衆に与える作用を、事細かく分析し、そこから見える大事になる過程を記している。
そこには、単純な集団心理だけではないモノを作者は見いだしている。