オリエント世界の星座
★★★★☆
古代エジプトの星座について、あまり詳しいものを邦書で見かけないので、興味深いなと思い手に取りました。
古代エジプトの考古学をされている近藤二郎氏が書かれ、副題に「エジプト・ナイルの星座」とあるので、エジプトファン向けかと思ったら、
どちらかというと、天文学に興味がある方に向けている感じで、
エジプトの星座にももちろん触れていますが、エジプトについてはピラミッドや神話、簡単なヒエログリフの説明をさらっと加えているのに対し、
天文学的な部分は、「差異運動による影響に固有運動による変化〜」とか「山羊座のα星から左にみずがめ座のβ星」とか、かなり細かいように感じました。
氏は小さい頃から天文学に興味をもたれていたとか。
そして『月間天文ガイド』に「古代オリエントの天文学」として連載していたものを、資料などを加えてまとめたものが、本書だそうです。
エジプトにも星座図があるが、それがなかなか現実の星々と結び付けられない。それはなぜかという理由や、さまざまな説の中で、有力と思われる星座図の紹介。
エジプトが中心ですが、メソポタミアにも少し触れていますし、天文学の始まりという感じで、ギリシアのことも書かれています。
エジプトの星座については、やはりまだ詳しいことが分からないままですが、それでも、一部の分かっていることをこうして分かりやすくまとめたものもなかったため、読んでよかったと思いました。
図も大きく多く、文章はとても分かりやすいです。
エジプトについては、初めて触れる人にも分かり易く書かれ、巻末に神々の紹介、ごく簡単なヒエログリフ表までついています。