年を経るごとに充実してきているJW
★★★★☆
ジョン・ウィリアムスは昔から中南米のギター作品を
随分録音している。このA・バリオスの作品は変則的だが
3回目(アルバムとしては2回目)と思われる。
初期の演奏は中南米ギター音楽に対する彼の熱き思いが
ほとばしったかのようで感動的だった。
このアルバムでは音楽がより内向的になり聞き手の魂に
訴えてくるかのような名演ぞろいになっている。
そういう意味では解釈の幅が広がっているような印象を
受けた。音楽とは当然若き日のものとは違ってくるもの。
【最後のトレモロ】【フリオフロリダ】【ワルツ第三番】
【森に夢見る】などそれぞれ以前よりも深められた演奏で
まったくすばらしいの一言。
バリオスの作品中大曲といえる【大聖堂】などの演奏では
それが極端に現れてくるのだが、ギター演奏では弾く者の
ハートが勝負の分かれ道、解釈によってギター作品はそれこそ
生きたり死んだりしてしまう。
聞いている人間はそれを敏感に感じ取れる。
楽器自体の構造からして聞き耳を立てるようになっている。
指先に神経が通っていない音は瞬時に察知され飽きられてしまう。
今回の演奏は確かに解釈によって曲により対抗盤をあげる人も
いるだろうが、年季で上回っているジョン・ウィリアムズで一押し。
クラシックギター至高の名曲・名演奏
★★★★★
ふと聞こえた音楽に惹かれて調べましたら、作曲はバリオスと聞いたことが無い名前。ギターもあまりポピュラーでない人の演奏でした。それでもふとこのCDを買って視聴して仰天。私はかってオーケストラでコントラバスを弾いていて、クラシックはかなり聴いた方だと思っていましたが、バリオスこの曲はそれは言い得ない程の深い美しさと瞑想的・哲学的な響きを持つ曲なのです。それにウイリアムス・ジョンのギター演奏はミュートの美しさもさることながら、極限まで磨き抜かれた技巧の精確さと極度に繊細な音の素晴らしさに、すっかり魅了されました。何回聴いても新しく心安らぐ音楽です。
人生の哀しみを慈しむ「大聖堂」
★★★★★
ジョン・ウィリアムスの『バリオス作品集』を14年ぶりに聴いた。これはまったく素晴らしいディスクだ。ギターのショパンと言うよりは・・・・、ショパンより好きだ。
「大聖堂」には人生のすべてがあるかもしれない。アレグロの苦味と哀しみ。
可憐な人生の喜びを謳歌した作品も多いし、それらも愛すべき作品だが、やはり「大聖堂」の響きには強く惹かれる。
あらゆる音楽ファンに聴いて欲しい。
ギタリストらしい演奏!
★★★☆☆
ジョンのファンには申し訳ないですが、このCDはいただけません。
前奏曲5-1目当てに購入しましたが、聞いて唖然としました。
プロが弾くスピードではなく、全くの練習生の演奏で、複雑な和声
アルペジオ、スケール、そしてスリルさなど、バリオスの高度な
音楽性が全く表現されず、大事なリピートもなし
これではいかん!!!
大聖堂も30年前の最初のCDとほとんど変わらず、他楽器演奏家のような円熟味は感じられない。
むしろ以前の演奏の方がいい。ただメカニックがある音楽性に過ぎない。
他の曲はそれなりに楽しめる部分もあるが、私はあまり興味なし。
バリオスの曲を世界に紹介したジョンの功績を考慮して、星3とした。
大陸的な風土の中で生まれた、洗練と繊細さの奇跡
★★★★★
バリオスは日本ではまだ一般には馴染みがない作曲家です。「これが南米の音楽?」と首を傾げたくなるような、繊細、ロマンティックでリリシズム漂う作風の、パラグアイの作曲家。南米に脈々と息づくヨーロッパ的な伝統や、洗練度を余すところなく示していると思います。けれど、ヨーロッパ留学中に自分の中を流れているパラグアイの土着的な音楽性に気が付いたとたん、矢継ぎ早に名曲を書いていったそうです。