全体的に、古めかしいという意味でなく、「かっちりしている」という印象を受けます。
書式に統一が取れているか、誤植がないか、誤解を生じさせる表現はないか、
といった点に注意が払われていると思います。
（ただし、問題の解答にミスはありました「"-"のところを"+"にしていたり」）

＜良い点＞
・問題数が多い
高校数学のチャート式のような構成で、例題とその下に類題があります。
１例題の下に３〜５の類題があります。ひどいときには１０以上あることも。

・各項目の分量配分が適切
例えば、1.1行列の定義、1.2演算の法則．．．と項目が分かれていますが、
全体にわたって、各項目の分量が同じになるような配分がなされています。
そのため、勉強の計画が立てやすいと共に、集中力も維持することができます。
個人的に、各項目のバランスが良い書籍が好きなのです。。。。

＜悪い点＞
・類題の解答がみにくい
例題の下に配置されている類題の解答が、書籍の後半にまとめられています。
解答の内容自体は詳細なほうだと思うのですが、別冊形式になっていないため、
答えあわせがめんどうです。

数学、物理学等に限らず、語学でもそうだがまずは慣れることが重要である。定理の証明を自分の手で行いなれるのも重要だが、それよりも実際の運用がさらに重要になる。その点で、本書は他のレビュアも既述のとおり問題を「解く」ことに特化されているところが非常によい。解法を変えて、一つの問題をしつこく解いてもよい。解答も充実している。ただし、わかりにくいと思った問題、なんとなく引っ掛かりを感じる問題は、徹底的にわかるまで時間をかけて考えること。わかったつもりが一番よくない（本書に限らずであるが・・・）。要点がまとめられているが、もちろ鵜呑みにせず、しっかりとした教科書を横におき証明等は自分で考えたい。本書を二回、三回と繰り返して仕上げれば線形代数という、多次元空間を単純な文字で表すことのできる強力な武器が自分のものになる。お勧めです。

　私は、線形代数を独習し始めて約4ヶ月経ちますが、他の良書といわれる本を読んでみると、写像に始まる一般論や、抽象的で、厳密な定理・証明の羅列の海にさ迷い、イメージが湧かず、自分が何をやっているのかさえ解からない状態に陥っていましたが、店頭でこの本に出合い、その内容の理解しやすい構成と、各章の冒頭にある、定義、定理、公式や、注意点等が要領よく簡潔にまとめてあり、線形変換の各種方法を比較分類し、一覧表にしてある等、線形代数を俯瞰的に見渡せるような、独習者にとっては、ありがたい解説、構成になっております。線形変換も2次曲面まで、基本的な事項は網羅されており、程度は低くないと思います。初学者、独習者には最適の演習書と思います。

線形代数、、多くの理系の大学生が困難を感じる科目である。
大学の教科書は小難しい定理の証明が羅列されているだけで結局の所何をすればよいのかがよく分からない。

しかも、線形代数の理論を本格的に学ぶのは大学が始めてであり、高校時代に一定の学習を終えている微分積分と比べて、問題を解いていくための具体的操作のイメージが持ちにくいことがその理由だ。

この演習書は徹底して「問題を解く」ことに集中しており、線形代数ができる自信がつけられる良書だろう。
ほんとにおすすめの一冊です。