でもそれこそが中村一義というアーティストの誠実さだ。
前作の『金字塔』で自分自身との格闘の末に辿りついた折り合いの地点から更に先にすすんで、このアルバムでは自分を取り囲む世界との折衷点を見出そうとしてる。
アルバム全体の、何と言うか、フラフラした曲の触れ幅はその歩みの軌跡なのだろう。
アルバムの完成度としてはきっと『金字塔』に軍配が上がるのだろう。
でもこの一人の青年の格闘のドキュメンタリーは当時似たような状況にあった自分の隣にいつも一緒にあった。
そしていまでも弱った自分を鼓舞して、外へ出て行く勇気をくれる。
このアルバムは早苗さんの為に創ったアルバムではないでしょうか。
「いつも二人で」という曲は早苗さんと一緒に作詞した曲です。
「過ぎる今が想い出なら、いつも二人で居れるように」
僕は何も言い返せなかったです。