たしかに主人公は少年たちだ。海も出てくる。しかし内容は今あなたが想像しているようなヌルイ児童文学では断じてない。いま「児童」という言葉を使ったが、それすら必要ない。
これは、すぐれた、そして苦い読後感を残しながらも、格別な面白さ(これが一番重要)を提供してくれる素晴らしい「小説」であるこのような作品を、四半世紀前の1980年に書いた作者の力量は驚愕に値する
現在絶版のようだが、ぜひとも再版してほしい。このような作品が現在入手できないということはほとんど犯罪である。