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夢中問答集 (講談社学術文庫)

価格: ¥1,313
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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同じ人間として考えさせられるテーマがたくさん ★★★★☆
足利幕府副将軍・足利直義の質問に対して、禅僧・夢窓疎石が懇切丁寧に答えた、これらの問答を書き留め、直義に仕える大高重成が刊行したこの問答集。
この本が出るまでは校註のみの岩波文庫版に頼るしかなかったため、校註に現代語訳つきでしかも文庫サイズという有り難さで発売された時は、諸手を挙げて歓んだ。
ただ現代語訳がやや固いのと、校註を全部載せた後で現代語訳に移るという編成に、両方を同時に比較し辛いという難点が残る。まぁ、贅沢は言うまい、というところか。

足利直義ファン、夢窓疎石ファンの心をくすぐる一冊であることは言うまでもないが、直義の簡潔的確な質問に対し、夢窓疎石が禅の精神を細かく、しかし比較的わかりやすく説いているため、宗教が日常生活に密着していた時代の人々の心のあり方を見てとることができる。
と同時に、いつの時代も人が生きていく上で悩みは尽きず、なんらかの道標を求め、たとえ一時救われたとしても、次の瞬間には矛盾が生じたりして、結局己も世にも絶対的な境地はなく、何ものにも囚われずあがき続けるしかないのだ…と、自分に対しても説かれているような気にさせられるほど、同じ人間として考えさせられるテーマがたくさん盛り込まれている。

いっきに読む必要はないので、一日一項目、読んでみるというのもよいだろう。
禅の教えに対する質疑応答である以上、ある程度宗教用語は遣われているが、それを除けば、質問する方も答える方も、決して難しい言葉は遣っていない。また直義自身が終盤で「在俗の女性にも読ませたいがいいか?」と夢窓へ諒解を求めているように、原文も漢字片仮名まじり文でとっつきやすくなっている。

中でも自分が注目したのは[一七]政治と仏法、に関するやりとり。
善であろうと努めることが、政治を行う上で障害となり、結局治世もうまくいかなかったのはどうしてか?という直義の問い。
今も昔も、政治の世界には確かにダークな部分があり、善人が必ずしも善政を行えるとは限らない。足利幕府成立のために、大塔宮弑逆など少なからぬ業を背負ってきた直義が今、副将軍として正しく政務を任っていく上での、切実で深刻な問題だろう。
これに対する夢窓の回答がまた素晴らしい。
前半では禅の教えや例え話によってその真相を解き明かしているが、後半になると完全に直義へ置き換えた話に移行する。
まず「今貴殿が為政者として仰がれているのは、前世の善根の果報だ」と告げながらも、それが今生の善行によって導かれたものでないことをはっきり述べる。そして多くの犠牲を払ったことは直義自身承知の上であろうが、己の知らぬところで害を被った者達がいることも忘れてはならないと説く。
当時事実上最高の政治的権力を持っていた直義に対して、追従する素振りなど微塵も見せず、厳しく、しかし温かく諭す姿勢がなんとも目に浮かぶようではないか。
しかも最初ではなく、がっつり言ってしまった後で、直義の目指す道を慮り、己の無遠慮をきっちり断ってしめくくっているのだ。

歴史的事実からどれだけ人物像に迫ろうとしても、本人の言葉より重い事実はない。たとえ言葉と心が裏腹だったとしても、言葉の裏側にあるものをある程度読み取ることはできる。
そういう意味で、これだけ直義の飾り様もない言葉が詰まっているものは他にないので、今後何度も読み返して、都度味わえる本になるだろう。
ここには仏教の核心、本道があります。 ★★★★★
 初学者にとってはやや難解な仏教用語が頻出するけれど、それにとらわれずに読み進んでも、本意は自ずと汲み取れるはずである。手段と目的を誤らないこと、手段を目的にしてはならないということ、これに尽きよう。噛んで含めるような巧みな比喩も多用されているので理解の助けになる。

 とにかく、いかなる問いに対しても膂力のある答えが返ってくる。師の熟達した思量というものが伝わる。真正面から返ってくるその答えに、読者が、そして仏教・禅を学ぶ者が全身で受け取らなければならないものが数限りなく詰っている。それゆえに師の教えは重い。繰り返して読むことによって血肉になるだろう。
素晴らしいです。 ★★★★★
深夜、落ち着いた時にしっぽりと紐解いています。バッハやモーツアルトのBGMもあるといい感じです。『ものの見方』の最高の極致があるなぁといつも読む度に思います。常に自分の立ち位置をスパッと斬り捨てて下さるので、ホッと楽になります。仕事等で妙に頭でっかちになった時、煮詰まった時、リラックスしたい時、お薦めです。
発見。 ★★★★★
平易な語り口のため、禅の「入門書」に一見すると見えますが、実はかなり難解な哲学書です。最初はつまらなかったり、わからなくてもあきらめず、とにかく毎日毎日くりかえし読んでいるうちに、少しずつ発見がある、そんな楽しみに満ちた本だと思います。人間にとって何が一番幸せか、大切なのか、考えさせられる本です。
禅の境地が具体的に、 ★★★★☆
とにかく難解ではありますが、話の内容自体は、現世の具体的な内容、ありようで説明されてるので、多少なりとも興味がある方はいいかもしれません。日曜日など、時間に余裕があって落ち着いて見れる方がいいかもしれません。